研究概要 |
昨年度に引き続き、デジタルカメラを販売するブランドメーカーに対して、製品ライン戦略の変遷に関する聞き取り調査を行った。また、デジタルカメラの設計・製造に携わる設計・生産会社(OEM,ODM,EMS,設計支援企業)に対してインタビュー調査を行い、製品ライン戦略の変遷が彼らの事業領域にどのような影響を与えているのかを把握するように努めた。加えて、上位移行を促す製品ライン戦略の実現に対して、ブランドメーカーがどんな販売戦略を描き、それがどのような成果に結びついているかについて、デジタルカメラを販売する流通企業に対してインタビュー調査を行った。 ここまでで得られた知見をもとに、製品ライン戦略が持つ事業成長と価値獲得との関連性について、学会発表を行った。ひとつは「デジタルカメラ産業における台湾企業の能力進化:X社を前身とする日本企業3社のビジネスシステムの変化から探る」(日本経営学会、関西学院大学、2013年9月4~7日)である。台湾のOEM/ODM企業とそれを支える日本企業(レンズ設計、製品設計、開発支援)を、ブランドメーカーの製品ライン戦略の実現機構と捉え、役割が如何に変容してきたのかについて分析を行った。 もうひとつは、研究期間中に急速に広まったスマートフォンの普及に対して、ブランドメーカーはどのような対応を採っているのかについて、現状分析を行った「スマートフォンの普及がデジタルカメラ産業へ与える影響」(産業学会、専修大学、2013年6月8~9日)である。この成果は「スマートフォンの普及に対応するデジタルカメラメーカーの戦略」『産業学会研究年報』第29号として2014年6月に刊行されることが決定している。
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