研究課題/領域番号 |
24730326
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
高橋 勅徳 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (70352482)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 経営学 / 環境経営 / ベンチャー / ソーシャルイノベーション |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実績については、①編著の出版、②査読付き学会誌への投稿・掲載、③学会報告の実施、の三点で構成されている。 まず編著の出版については、高橋が編者の一人を務める編著『制度的企業家』がナカニシヤ出版より出版された。本研究課題に関連して、第3章「制度的企業家のディスコース」において制度派組織論の学説史を検討すると共に、第11章において「制度に埋め込まれた企業家のネットワーキング」において、コンバージョンEVベンチャー企業の創業プロセスの分析を行った。 次に査読付き学会誌への投稿・掲載については、日本情報経営学会学会誌、法政大学イノベーション・マネジメントに合計三本の論文を投稿し、査読付き論文として掲載および掲載が許可された。より詳細には、日本情報経営学会誌第35巻1号に掲載された「言説間での(再)接続と切断としての制度化 : フリーランス研究における騎士・従僕・英雄言説」は、本研究課題において調査方法論として期待される言説分析を用いた、試論的研究として位置づけられる。この議論を踏まえて、日本情報経営学会学会誌において環境系ベンチャー企業のネットワーク分析を行った、「制度と企業家のネットワーキング:イーブイ愛知株式会社によるコンバージョンEV事業構築の事例分析」が査読付き雑誌として掲載が許可(2015年3月)されている。法政大学イノベーション・マネジメント第12号に、高耐震・長寿命・低コスト住宅の販売を行うベンチャー企業の創業プロセスを分析した、「建築業界における企業家活動:株式会社千金堂によるローコスト住宅販売事業構築の事例分析」が査読付き雑誌として掲載された。 最後に学会報告については、日本情報経営学会第69回全国大会において、「畜産業の6次産業化における企業者活動:株式会社みやじ豚によるブランド豚の生産―販売体制の構築事例の分析」を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題は、平成26年度を終えて、全4カ年の研究機関のうち、3カ年が修了した。平成26年度を終えた時点での達成度については、当初に計画していた研究計画について、想定外の事象からいくつかの変更が迫られたものの、全体として予想以上の進捗状況であるといえる。その理由については、以下の通りである。 第一に、研究実績の概要で報告しているように、本研究課題に基づいて蓄積されてきた研究活動のうち、理論的基盤である制度派組織論に関する理論研究と、コンバージョンEV事業の構築を目指すベンチャー企業の経験的調査について、編著の一部として出版された。第二に、本研究課題に関わる方法論の検討の一環として実施してきた言説分析およびネットワーク分析にかんする試論について、日本情報経営学会学会誌にそれぞれ査読付き論文として掲載差入れた。第三に、本研究課題に関連して新たな調査先として開拓した、株式会社千金堂および株式会社みやじ豚について、前者は法政大学イノベーション・マネジメントに査読付き論文として掲載され、後者は日本情報経営学会全国大会において、課題研究セッションの一部として学会報告を行った。 当初、最終年度に書籍を出版する予定であったが、所属大学での出版助成の関係上、前倒しとなる26年度に書籍が出版された。また、一昨年度より積み重ねてきた研究活動が、査読付き論文3本という形で一度に研究成果として現れることになった。研究活動の進展に伴い、新たな調査先の開拓および研究報告活動も順調に進んでおり、現段階での達成度は90%程度であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の研究進捗が当初の予想を大幅に超えて進んだことも有り、最終年度となる27年度については、より有意義な研究成果の達成を目指した研究活動を展開していくことを目指す。 まず、昨年度までに当初予定の成果を達成したコンバージョンEVベンチャー企業に関する調査研究および、沖縄県におけるエコツーリズムに関する調査研究については、26年度中の研究成果をもとに、海外の専門学術雑誌(Journal of Business Venturing;Tourism Review)への投稿を行う。 次に、平成26年中に開拓した新たな調査先について、地域活性学会、日本ベンチャー学会などで研究報告を行った上で、専門学術誌に査読付き論文の投稿を行う。 最後に、本研究課題に基づく研究成果を、「ソーシャルイノベーション」の観点から整理し出版交渉および出版助成金の交渉を行い、出版の目処をつける。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機関の最終年度に予定していた書籍の出版が、研究が順調に進んだこともあり一年前倒しになり、26年度の後半は出版のための執筆・校正作業に多大な時間を割く必要があった。このため、当初に想定していた調査や学会報告を見送らざるを得ず、そのため、次年度使用額が生じてしまった。ただし、今回の使用額の発生は研究が順調に進んだためであり、研究計画全体の進捗に影響は無い。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、26年度に見送った地域活性学会および日本ベンチャー学会での研究報告および論文投稿の費用として用いることを計画している。昨年度中に出版が達成されたために発生した予算を、より大きな研究成果の達成のために用いる。
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