研究実績の概要 |
社会的課題の解決を目的とした事業であるソーシャル・ビジネスは、認知構造に変化をもたらすことで社会的課題の解決を実現しており(国保,2011)、組織変革をもたらすものである。変化する環境に適応するためには組織は変化せねばならない。また、昨今は会社に対する強いコミットメントや明確な組織の境界を前提とできないケースが増えてきた。この状態は組織の運営に必要な組織支持者(Aldrich,1999)の比率が低いという状況である。 上記を踏まえ、本研究は①組織の生存に必要な変革をどうすればもたらせられるのか、そして、②そのために組織利用者を組織支持者にどうすれば転換させられるのか、の2点について、組織マネジメントの観点から明らかにすることを目的とした。 H24年度は、文献調査および調査事例の選定のための探索的研究を実施。H24年度とH25年度は東日本大震災の被災地の復興支援を目的としたソーシャル・ビジネスのフィールド調査を行った。H26年度の前半は、自分の育児休業中に育休中の従業員が経営者視点を学ぶための勉強会を立ち上げた。そしてこのLearning Communityにて、育休中の従業員が組織利用者から組織支持者に転換していくという意識変化が確認されたため、育休から復職すると同時に研究対象をこのLearning Communityに変更してフィールド調査を続けた。 勉強会に参加した参加者のアンケート及びインタビューから、勉強会の参加によって①参加者の就労意欲及び組織への貢献意欲が高まる、②管理職(組織支持者)への意欲が喚起される、③継続参加回数が多いほど変化の度合いが大きくなる、ことが確認された。これらの結果から、学習によって組織利用者から組織支持者への意識変化をもたらせるのではないかと考えている。H26年とH27年に研究報告会ならびに研究報告書という形で社会への情報発信も心掛けた。
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