研究課題/領域番号 |
24730330
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
田中 恭子 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (10453200)
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キーワード | 企業再生 |
研究概要 |
本研究の目的は、企業再生における国内の早期対応企業の特徴が、米国企業の再生行動にも適応可能かどうかを両国の事例を比較し明らかにすることにある。具体的には、米国企業において早期に再生行動を実施できた企業とそうではない企業を比較し、再生必要状況の認識と実際の再生行動との関連性について、両国の企業再生における認識と対応の各特徴と相違を提示し、米国と比較し危機認識も対応も遅れがちな日本企業に対する早期再生への対策を得ようとするものである。 平成25年度では、8月に渡米し現地法人での聞き取り調査を予定していたが、研究代表者の家庭的な事情により実施に至らず、補助事業期間延長承認申請を行い、平成26年度までの補助事業期間の延期を承認された。よって平成25年度の研究実績としては、平成24年度の実績と合わせ、米国企業における再生行動を、国内企業の再生行動の特徴と比較し、公刊資料および文献調査から組織的な相違点を整理することを中心に実施した。特に再生必要状況の認識と再生の開始時期では、組織内部の意思決定と株式市場での評価が開始時期に影響する可能性が高いと整理できたことから、聞き取り調査では企業の再生状況認識について内部環境と外部環境の両面から検討をすることに重点をおいた。 以上より平成25年度ではヒアリング先への質問項目として以下の項目群に分けた問いを作成した。①危機指標、②危機認識の時期(①~②:再生必要状況であることの認識について)、③組織的な再生対応開始時期、④再生対応の実施期間年数、⑤具体的対再生対応策とその実施順序(③~⑤:再生対応行動について)とし、これらの項目を基準として、具体的な企業の個別事情を考慮しながら、聞き取り調査を実施する準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度8月に予定していた米国企業への聞き取り調査が、渡航直前の親族の入院により研究代表者が看護をする必要が発生したため、調査が遅れている。このため補助事業期間延長承認申請書を提出し、1年間の期間延期の承認を得ており、平成26年度に未実施となった調査を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施できなかった米国企業への聞き取り調査を中心に実施する。これまで公刊資料および文献調査から、米国企業における再生行動の組織的な特徴として1)米国企業では再生状況の初期段階で危機認識がされ、その契機は株式市場での評価影響が大きい。2)再生対応の宣言および行動開始の迅速さ(組織意思決定・法制度手続き双方で米国企業は機動性が高い)が挙げられた。よって上記特徴を基盤に展開した質問事項として、再生必要状況の認識と再生行動を中心とし、次の項目群に分けた質問項目を作成した。 平成26年度においては①危機指標、②危機認識の時期(①~②:認識)③組織的対応開始時期、④再生対応の実施期間年数、⑤具体的対応策とその順序(③~⑤:行動)、の質問項目に従い実際の米国企業を対象に聞き取りを実施し、検証する。 これまでの研究代表者の研究結果から、両国の市場特性と組織特性は再生認識と再生行動に影響しうると判断できる。平成24年度の成果からも、特に再生必要状況の認識(認識時期、認識の指標)と再生の開始時期では、組織内部の意思決定と株式市場での評価が開始時期に影響する可能性が高いと整理できた。よって平成26年度の聞き取り調査の分析視点として、企業の再生状況認識については内部環境と外部環境の両面から検討をすることに重点をおく。具体的には比較の際に、外部環境として、企業再生法制度の相違、CEO人材市場、企業統治、金融市場とし、内部環境として、トップの交代、金融機関等の融資、外部リーダーの関与の有無、事業の外部委託や縮小均衡の有無、大幅な戦略変更の有無などの具体的対応策について比較検討を行う。 以上の聞き取り調査結果から、再生対応が比較的早期に行われる米国企業の再生行動について分析し、日本企業に見受けられる慢性的な赤字経営状況に陥りやすい経営上の原因およびその対策について検討を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度8月に予定していた米国企業への聞き取り調査が、渡航直前の親族の入院により研究代表者が看護をする必要が発生したため、調査が未実施である。(補助事業期間延長承認申請書を提出し、1年間の期間延期の承認を得ており、平成26年度に調査実施予定) 平成26年度の研究費使用計画としては、米国企業への聞き取り調査およびデータ分析を実施する予定であるため、研究費の費目としては、調査のための海外旅費(北米渡航費)、人件費(現地コーディネーター謝金、テープ起こし等)となる。
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