研究課題/領域番号 |
24730331
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
金間 大介 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (80435742)
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キーワード | モチベーション / 研究開発者 / 動機づけ / 知識創造性 |
研究概要 |
前年度までの研究では、日本人の若手研究者に焦点を当てて分析を行ったが、いくつかの先行研究によると、世代や国・文化の違いによってモチベーションが高まる要因は異なることが報告されている。特に、世代の違いという意味では、日本人は独特のモチベーションを持っていることも考えられるため、世代間の比較検討は意味があると考えられる。 そこで本研究では、若手の研究開発者と、プロジェクトリーダー等を含めたマネジャー職に就く研究開発者の双方にインタビューを行い、どのような時にモチベーションが向上し、より高い知識創造性を発揮できるのかを調査した。マネジャー職に就く研究開発者は、自身が束ねるチームや部下のモチベーションを最大限に高めたいと考え、様々な対応を行っている。しかし、ときにそれらは必ずしも部下たちが望むものではないために、逆に彼らの意欲を阻害してしまう可能性も否定できない。そこで本研究では、マネジャー職に就く研究開発者には、彼らが指揮するチームや部下のモチベーションを高めるのに好ましいと思われる方策を問い、若手研究開発者が実際に求めている方策との差異を比較検討した。 その結果、若手研究開発者は、研究開発における自由度や時間的余裕、組織内外のコミュニケーションを重視していたのに対し、マネジャー層は評価や表彰を重視するといった差異点が見られた。一方、「個人の能力や技能を発揮する機会」および「チャレンジングな技術課題」については、リサーチャークラスとマネジャークラスの双方がモチベーションを高めるのに重要であると考えていたことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の遂行および成果の発表まで、おおむね計画した通りに進んでいる。また、論文発表後は講演依頼やセミナーの開催依頼も受けており、その意味では計画した以上の成果を挙げていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、研究開発者のモチベーション構造について、評価グリッド法と呼ばれる質的研究手法を用いて分析した。評価グリッド法は回答者の潜在的な心理探索を主目的とする定性調査であるため、それほど多くの調査人数を必要としない。ただしこの手法は、モチベーション構造の把握・概念化およびこれらの比較分析には効果を発揮するものの、厳密な数量的検証を行うことはできない。したがって今後は、量的方法論も導入して、今回構築した概念に関する数量的検証を検討していく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね予定通り使用することができたが、旅費やその他の支払において多少の差額が生じたため、残額が発生した。 次年度使用額は少額であるため、大きな計画の変更はせず、引き続き効率的に使用していく。
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