研究課題/領域番号 |
24730331
|
研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
金間 大介 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (80435742)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | モチベーション / 研究開発 / インセンティブ / 評価制度 / 報奨制度 |
研究実績の概要 |
一般的に,従業員のモチベーションを高めるために,経営者や各部門のマネジャーは様々な工夫を行っている。そして高まった労働意欲は優れた知識創造性を発揮し,優れた知識創造性は最終的に組織により大きな成果をもたらすことが期待される。そこで本年度は,企業の研究開発者に対する評価や報奨制度が,実際にイノベーション活動の成果に結びついているかどうかについて,統計的に検証を行った。 分析の結果,本研究では次の3点が明らかとなった。第1に,研究成果に基づく評価制度や報奨制度を導入している企業ほど,新製品や新サービスを市場投入している傾向にあることが明らかとなった。第2に,研究成果に基づく評価制度を導入している企業ほど,高い技術的優位性を有する新製品や新サービスを開発していることが示された。ここでいう技術的優位性とは,競合他社が同一の新製品や新サービスを開発するまでに要する期間で測られている。第3に,研究成果に基づく評価制度や報奨制度の導入と新製品・新サービスからの収益の間に統計的な有意性は見いだせなかった。すなわち,評価制度の導入は技術的優位性を高める傾向にあることは示せたが,収益に寄与しているという結論は得られなかった。また,技術的優位性に対しては,収益を確保する法的あるいは戦略的手段の活用や,市場規模の拡大などが寄与していることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開発者に対する報奨制度や評価制度に関する定量分析は,文部科学省科学技術・学術政策研究所が行った全国イノベーション調査のデータを活用することで,一定の成果が得られた。成果は日本知財学会の学会誌で特集号として発表した。この活動により,多くの研究者や実務者との交流を持つことができ,成果の普及も進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるため,これまでの成果をまとめ,論文や書籍として発表する。また,当該所属大学の通信教育部において,モチベーションに関する新科目も立ち上げる。
|