研究最終年度である平成26年度には、平成25年度末に研究代表が発表した単著『震災と企業の社会性・CSR-東日本大震災における企業活動とCSR-』(3月20日刊行、創成社)に基づいてさらなる被災地企業のCSR(企業の社会的責任)について研究を進めた。 被災地企業に対するヒアリング調査を実施することで、研究ノート的な資料として被災地企業のビジネス・ケースを2本作成した(東北学院大学学術研究会編『経営学論集』第5号・第6号所収)。その他には、上記著作の成果を学会に発表する取り組みも行った。その結果として、学会誌において著書が紹介されたり(経営倫理実践研究センター『経営倫理』NO.76)、書評も掲載(生活経済学会編『生活経済研究』第41号所収)された。また、学会発表(事業承継研究大会第5回大会)も行い、同著に対する様々なコメントを得ることができた。 研究最終年度においも、被災地企業のCSRの考察を進めた結果、そこには経営者の価値観や理念に基づくリーダーシップが極めて重要な役割を担うことが明らかになった。それゆえ、今後とも被災地企業のCSR研究を継続していくために、CSRとリーダーシップの関係性についての枠組みを構築した。このような分野は、CSR研究からも、リーダーシップ研究からも研究蓄積が薄い分野であるため、学術的に意義のあるものであると考えている。科研費の助成期間の研究を通して、今後の課題を得ることができたので、次なる課題に取り組み震災における企業の役割を明らかにしていきたい。
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