研究課題/領域番号 |
24730338
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
岩谷 昌樹 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (70366003)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際経営 / 経営戦略 / デザイン思考 / デザインマネジメント |
研究概要 |
研究課題の2つの大きな主題である「国際経営戦略」及び「デザイン思考」に関する文献を収集し、整理する作業を行った。この文献サーベイを通じて、国際経営戦略研究とデザイン思考(デザインマネジメント研究の1部分)の接続点を探ることに努めた。この結果、両研究分野の接続を可能にするのはイノベーション、経験価値マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、ビジネスモデル、ブランド戦略といった領域であることが分かり、それらを構成要素とする「国際経営戦略におけるデザイン思考の組み込み」についてのフレームワークづくりを行っている。こうした文献サーベイとともに、デザイン思考に関する資料収集・研究者との意見交換・施設訪問・消費現場の視察等の目的で、長野・名古屋・京都・大阪・神戸・倉敷を訪問した。これらの出張から得た知見は日本発の国際経営戦略ないし日本独自のデザイン思考を検討する上で貴重なマテリアルとすることができる。本年度での成果としては、3種類のものを挙げることができる。1つはミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授の著作の翻訳書を出版したことである。『デザイン・ドリブン・イノベーション』(同友館より2012年7月に初版発行。1,200部。ISBN978-4-496-04879-1)がそれである。いま1つは国際経営戦略に関して「国際的企業家の肖像」という論文を公表したことである(『埼玉学園大学紀要 経営学部篇』第12号、2012年12月、pp.73~84)。また1つは立命館大学経営学部・八重樫文准教授との共著論文を2本公表したことである(「グッドデザインによるビジネスモデルの構築に関する考察」『立命館経営学』第51巻第1号、2012年5月、pp.59~82。「イノベーションとデザインマネジメントとの関連性についての考察」『立命館経営学』第51巻第2・3号、2012年9月、pp.47~66)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の研究実施計画と照合すると、『デザイン・ドリブン・イノベーション』の日本語訳の出版を計画通りに果たせたので、順調に進んでいると見なすことができる。これに加えて、文献サーベイの1つの成果である論文を3本公表することもできたので、当初の計画以上に進展していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後においては、引き続き、国際経営戦略とデザイン思考に関する文献を幅広く収集し、読解する作業を通じて「国際経営戦略におけるデザイン思考の組み込み」のフレームワークの強度を増すことに努めていく。それと並行して、デザイン思考に関する資料収集・研究者との意見交換・施設訪問・消費現場の視察等を目的とする出張も数多く行うことで、最新のマテリアルの連続的入手を目指す。そして、これらを基にした研究の成果を数本の論文公表という形で果たしていきたい。とりわけ、国際経営戦略の分野では、多国籍企業への多様なアプローチを整理し、どのアプローチにデザイン思考が最も適合性があるかを見極める内容の論文を作成し、公表したい。デザイン思考(デザインマネジメント研究)の分野では「ファンタジー経済とデザインのWowファクター」「コラボレーション経済におけるデザインとブランドの関係性」といったテーマでの論文を作成し、公表したい。こうした研究を推進するために、自らが客員研究員として在籍する立命館大学経営学部デザインマネジメント・ラボ(DML)とも積極的に連携していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費合計1,000,000円のうち、物品費を800,000円使用する。その内訳は、設備備品費200,000円とし、資料入力及び論文作成用のノートパソコン(東芝Dynabook R732/39HB)を1台、3号館8階経営第12研究室に納入する。また、消耗品費600,000円とし、書籍(主に欧米の専門書)購入に充てる。残りの200,000円は国内旅費とし、長野・静岡・名古屋・京都・大阪・神戸・倉敷等に出張し、資料収集・研究者との意見交換・施設訪問・消費現場の視察等を行う計画を立てている。
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