研究課題/領域番号 |
24730344
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
足代 訓史 大阪経済大学, 経営学部, 講師 (40583258)
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キーワード | ビジネスモデル / ビジネスシステム / 行為システム / 事例研究 / テキストマイニング / ソーシャルメディア |
研究概要 |
本研究の目的は、日本発ソーシャルメディアのビジネスモデルの特性と進化プロセスを解明することにある。そのため、理論的側面に関してはビジネスモデル論と行為システム分析に関する研究を、分析対象となる事例に関しては国内の代表的ソーシャルメディア事業者3社に関する研究を進めている。平成25年度においてはそれぞれ下記の通り研究を進めた。 ビジネスモデル論に関しては、欧米におけるビジネスモデル論のレビュー論文の中でも最も影響力の高い論文の内容を解読・吟味しつつ、そこに独自の理論的発展を遂げている日本のビジネスモデル論ならびに関連研究であるビジネスシステム論の論点を統合して、理論的課題の整理をおこなった。左記アプローチによる理論的研究はまだ多くは見当たらないため、この理論的研究の意義は一定程度あると考えられる。この研究の成果は、研究代表者の所属機関である大阪経済大学のWorking Paperとして取りまとめた。行為システム分析に関しては昨年度に引き続き文献研究を進め、既存の議論の整理を進めた。 事例研究に関しては、分析対象の3社(グリー株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社ミクシィ)に関する公開情報(IR資料や新聞・雑誌記事等)のデータベース化とケース化に注力した。左記データベースは、行為システム分析のための具体的手法であるテキストマイニングによって次年度に分析される予定である。また、事例データベースとケースの整備に加えて、テキストマイニングの理論的背景である言語統計や定性的研究の方法論に関する文献の解読と内容の整理をおこなった。事例研究に関しては、本年度の研究成果の公開は無かったが、上記の理論的研究の成果と本年度作成したデータベースとケースを基に統合的分析をおこない、次年度に事例研究論文を執筆・公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の解明に接近するための平成25年度中の目標は概ね以下の通りであった。(1)ビジネスモデル論に関しては、ビジネスモデルの動態的側面を分析可能な独自フレームワークの構築を模索すること。(2)行為システム分析に関しては、それをテキストマイニングによっておこなう際の枠組みに関する方法論的検討をおこなうこと。また、(3)事例研究に関しては、分析対象となる3社の公開情報データのデータベース化の完了ならびにケースの整備をおこなうこと、そしてそれらを基に理論的枠組みを用いた事例研究に着手することである。 (1)に関しては、上述したビジネスモデル論の論点の整理と検討を踏まえて、昨年度に試論的に構築したフレームワークの修正をおこない、分析枠組みの構築をおこなったため、順調に進んでいると考えている。(2)は、業績を公開しなかったものの、文献解読と内容の整理を進めており、概ね順調に進行している。(3)に関しては、計画通り進んだ部分とやや遅れている部分がある。具体的には、分析対象各社に関する、テキストマイニング分析のための公開情報のデータベースの構築とケースの整備は概ね完成を見た。その一方で、事例研究の着手に関してはやや遅れていると考える。以上、上記3つの進捗を合わせ、本年度の自己評価を「(2)おおむね順調に進展している」としたい。 なお、業績の公開に関しては学術論文誌への投稿準備中のものも含め、おおむね順調に進んでいることを付記しておきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は概ね計画通り進行しているが、最終年度となる平成26年度は下記の通り研究を進め、研究成果を公開していきたい。 平成26年度は前年度までの研究成果を踏まえ、統合的分析をおこない、研究成果を学術論文誌等に対して提出していく予定である。統合的分析の中心となるのは、前年度に整備をおこなった公開情報のデータベースに関するテキストマイニング分析を通じた対象事例の行為システム分析の完成と、事例研究を通じたビジネスモデル理論に関する分析枠組みの精緻化ならびに理論的貢献の明確化である。左記の研究と研究成果の公開を通じて、本研究の目的である日本発ソーシャルメディアのビジネスモデルの進化メカニズムの解明をおこないたい。加えて、本研究の中心的な方法論であるテキストマイニングを用いた行為システム分析の信頼性の自己点検も実施したい。そして最終的には、本研究の限界の把握と今後の研究課題の整理を進める予定である。 なお、研究成果の公表は、学会報告や学術論文誌への投稿を通じておこない、周囲からのフィードバックや批判的見解を積極的に得ることで、その精度や妥当性を漸次的に高めていく。なお、昨年度同様、交付申請書に記した研究成果発表予定先からは多少の変化があることが想定されるが、内外さまざまな場所での業績報告をおこない、多様な視点からの示唆を得たいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた状況しては、予定していた国際学会参加の取りやめと、その結果として、人件費・謝金として計上していた英語校閲費用かからなかったことが主要因である。なお、国際学会参加取りやめの主な事由は、研究代表者が平成25年度より新たな所属機関に移り、本研究開始時に予定していなかった教育業務ならび各種学務に携わることになったことにより、スケジュールの変更を見直さざるを得なくなったためである。左記によって生じた研究費は、次年度請求分のものと合わせて、下記の用途で使用させて頂く予定である。 次年度以降に請求する研究費の主な使用目的は、物品費(書籍など)、旅費(国内外学会出張ならびに共著論文共同執筆者との打ち合わせのための出張など)、人件費・謝金またはその他(英語論文執筆のための翻訳・校閲費用など)である。なお、テキストマイニングによる分析を進めるうえで、定性分析のためのPCソフト(例:MAXqdaやNVivo)を用いた研究を並行的におこなうことの重要性を本年度改めて認識した。そのため、物品費を該当するソフトウェアの購入にあてたり、その他費目の費用の一部を当該目的のため再配分したりすることも昨年度より引き続き予定している。
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