本研究の目的は、日本発ソーシャルメディア(SNS)のビジネスモデル(BM)の進化のメカニズムを明らかにすることである。そのため、理論研究としてはBM論と行為システム分析に関して、事例研究に関しては国内SNS3社に関して研究を進めてきた。 BM論に関してはまず、BM概念の持つダイナミクス(動的性質)に関する理論的研究をおこなった。具体的には、BMの進化という現象が、BM研究が扱ってきたダイナミクスのどういった側面に位置づけられるのかを明らかにした。加えて、SNSが持つプラットフォームとしての媒介的性質を検討するため、媒介型プラットフォームのBMの構築プロセスを検討した。左記2つの研究成果は研究代表者の所属機関が発行する紀要に取りまとめた。また、BM構築の「遂行的性質(エフェクチュエーション)」に関する研究を追加的におこない、研究成果を日本ベンチャー学会の全国大会において報告した。 事例研究に関しては、分析対象企業の公開資料に関する構築済みデータベースのアップデートをおこなった。加えて、データベースを用いてテキストマイニングをおこない、3社のBM変化の焦点を捉えることを試みた。左記の分析結果に関しては、事例研究論文として学会誌(投稿先検討中)に投稿すべく執筆をおこなっている。 そして、理論研究と事例研究を統合するかたちで、以下の2つの成果をあげた。1つは、BMの進化という動的側面に着目して、GREEのBMの発展プロセスのメカニズムを一定程度明らかにしたもので、成果は日本経営学会の関西部会において報告した。もう1つは、昨年度に引き続き、行為システム分析に関して、企業家の失敗からの学習と事業の立て直しという側面に着目した研究論文執筆をおこなった(この研究の事例分析対象はSNSではない)。この成果は、日本ベンチャー学会誌に投稿し、査読付論文として掲載された。
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