研究課題
本研究は2ヶ年計画で実施された。最終年度に当たる平成25年度の研究概要は以下の2点である。第一に,企業経営においてどのようにリスクが想定されるのかという「リスク想定のプロセス」を解明した。特に,既存研究の整理や事例調査から、(1)従来のPDCAサイクルをベースに描かれるリスクマネジメントプロセスでは,「リスクの発見」,「リスクの算定」,「リスクの評価」,「対策の選択」を経て,その選択された対策が実施されること,(2)そのため,リスクマネジメントの基本的な発想が,リスクを想定してから,その対策を実施するという一連のプロセスになっていること等が明らかとなった。第二に,リスク想定のプロセスにおいて,「リスク想定の困難性の要因」を特定した。特に,既存研究の整理や事例調査から、(1)リスクの発見には「リスクの見落とし」,リスクの算定には「発生頻度と損害規模の曖昧さ」,リスクの評価と対策の選択には「リスクの相対関係の曖昧さ」「リスク対策の効果の曖昧さ」等,リスクの想定を困難にさせる要因があること,(2)リスク想定の困難性の本質的要因には,恣意性・主観性の存在,効率性と正当性の対立,リスク想定の多義性,一連のプロセスとなっていること等が関わっていることを明らかにした。なお,研究成果を基にした著書を現在作成中であり,近年中に著書として公表したいと考えている。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
日本情報経営学会誌
巻: Vol.34, No.1 ページ: 64-76