研究計画は概ね達成できたと思われる。本研究では研究人材に対するインタビュー調査とアンケート調査を同時に行うことができた。平成27年度には韓国企業の研究開発人材に対するアンケート調査を実施し、252の回答を得ることができた。 研究当初は日本と韓国の比較を前提にインタビュー調査とアンケート調査を同時に実施すると計画していた。しかし、アンケートの実施に向け幾つかのアードルが後から出てきた。第一、仮説の作成に時間がかかった点である。第二、平成25年度から円安が進み韓国の調査費用が想定より大きくなった。時期的なずれ込みと円安の影響で日本と韓国で同時にアンケートを実施することが難しくなったため、韓国のアンケート調査を優先し、研究費を優先的にあてた。その結果、当初の予定より大きいサンプルサイズを確保することができた(当初予想:韓国・日本それぞれ150個)。 同アンケートは平成24から26年度にかけて実施した文献調査および企業のインタビュー調査をベースに作成したものである。主な設問項目は、研究人材の個人レベルにおける変数を基本しながら、組織レベルの変数も測定することができた。 アンケートの狙いは、個人レベルの変数が研究成果および革新性のような結果変数に与える影響を明らかにすることである。今回の調査で注目すべき点は、Social SkillやPolitical Skill等の変数である。組織の中で周囲の人と円滑な人間関係をきづくことができるかを問う概念であり、近年注目されているSocial Capitalの先行要因としての効果も予想される。
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