研究課題/領域番号 |
24730354
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
橋本 理 関西大学, 社会学部, 教授 (60340650)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | NPO / 社会的企業 / 経営学 |
研究概要 |
福祉NPO・社会的企業の理論研究については、研究史を踏まえて研究動向を整理した。その成果は学会において報告し、報告をもとにした論文については平成25年度初旬に学会誌に掲載される予定である。福祉NPO・社会的企業における「事業」と「公共性」の関係性について明らかにするための基本的な枠組みを提示した。介護保険事業者や障害福祉サービス事業者のデータ収集と実態分析については、先駆的な団体にヒアリング調査を行うことによって情報収集を進めており、次年度以降に分析を深める予定である。 なお、平成24年度中には、上記の理論研究と実態研究の双方の研究成果を踏まえた単著の執筆を開始し、その成果物についても平成25年度中に発行の予定である。同書では、福祉NPO・社会的企業の基礎的な概念を整理し、日本のNPOや社会的企業研究の到達点が明らかにされる。同書ではNPO研究の全体像を示すことが試みられ、日本におけるNPO研究の基本的な視角を提示するという意義を有している。NPO研究の土台をなす研究として重要性を有するものと考える。 また、平成25年度以降に着手する予定であった国際比較については、実態調査に参加する機会を得ることができたため、研究計画を前倒しして、韓国の社会的企業についてヒアリング調査を行った。国民基礎生活基礎保障法との関わりから、自活共同体、自活事業団などの実態分析を行った。福祉的視点と経営的視点の双方における国や自治体による支援の展開、現場の事業体における経営実践上の工夫について、現地調査に基づいて意義と問題点を明らかにした。その研究成果は既に校了し、成果物を含んだ書籍が平成25年度初旬に発行される予定である。政策や現場の展開がスピーディである韓国の動きをみることは、日本の社会的企業論の豊富化にも寄与するものであり、研究の意義・重要性の高いものとなる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福祉NPO・社会的企業の理論研究については、研究史を踏まえて、現時点での研究の到達点を踏まえた論文を作成しており、当初の目的どおりに研究が進められている。研究の進展が速い分野であるため、今後も常に最新の文献の渉猟が欠かせないが、最新の動向についてのフォローはできており、研究の目的を十分に達成できている。 介護保険事業者や障害福祉サービス事業者のデータ収集と実態分析については、先駆的な団体にヒアリング調査を行うことによって情報収集が進めることができている。但し、福祉NPOの経営指標の作成やサービス毎の経営実態比較については、研究途上であり、次年度に分析を深める予定である。 理論研究についても実態研究についても、研究目的に沿って初年度に予定していた基本的な課題についてはクリアしており、おおむね研究目的については達成されている。
|
今後の研究の推進方策 |
理論研究については、先行研究から最新の動向まで整理できているが、今後も新たな研究の分析を続けていくことにより、最新の理論動向を踏まえた研究を進めていく。国際学会に参加し、福祉NPO・社会的企業の国際的な研究動向を常にフォローする。 データ収集・実態調査については日本の現場の動向を明らかにすることはもちろんだが、当初の研究計画に基づき、国際比較の視点から海外の実態調査についても進めていく。とりわけ、英国における福祉NPO・社会的企業の実態について調査を進めていく。実態調査で得られた知見をもとに、理論的枠組みの再構成についても進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画に即して、国内外の福祉NPO・社会的企業への訪問調査のために、調査・研究旅費および通訳費を使用する。また、訪問調査時のデータ入力や整理のために、研究補助の謝金を使用し、文具やPC関連の消耗品を購入する予定である。
|