研究課題/領域番号 |
24730357
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
石塚 史樹 西南学院大学, 経済学部, 教授 (40412548)
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キーワード | トップマネージャー / 人事部 / 給与システム / 経営学士 / スタッフ部門 / 能力開発措置 / 発明報酬 / 人事改革 |
研究概要 |
2012年度において、GoldschmidtおよびBayerの両社について、9月および3月に文書館調査を行い、特にミドルマネジメントについて、役職、専門性をとわず、かなり広範な人事書類の調査を行うことができたわけであるが、2013年度においては、特にトップマネジメントを担当した取締役に適用された人的資源管理を重点的に探ることになった。 この目的を果たすために、2013年度は、2014年の2月16日から3月14日にかけて比較的長期の現地調査を行うことに成功した。特にGoldschmidt社の調査に3週間の期間をとり、調査活動の重点とした。この理由は、同社の企業資料を管理するEvonik社の担当者が、エッセンの本社より、許される限りの企業文書の回収を試みることを前々より約束していたことにあった。実際に、2014年1月期に上記の担当者がエッセンの本社より、1980年代まで取締役を務めた何人かのトップマネージャーの人事書類を回収しており、また、それ以外にも1980年代までミドルマネジメントを担当した重要人物の人事書類を、かなりの比率で回収してきていた。特別な許可により、これらのすべての人事書類の閲覧及び分析を行うことができ、後数名のトップマネージャー及びミドルマネージャーの人事書類を分析すれば、同社のマネージャーの人的資源管理について、かなり説得力のある発見を示せるところまで研究を進めることができた。問題は、本社レベルでの研究が著しく進行した一方で、子会社レベルの調査が、まだ満足なところまで進んでいないことだった。Bayerについては、経営学士の人事書類を調べつくし、取締役会の議事録の調査で、これまでわからなかった1976年の人事改革で定められた、マネージャーの給与システムについてカギとなる情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Goldschmidt社については、トップマネージャーを含む大部分のマネージャーについて、部分的には1990年代までに至る人的資源管理の実態をつかむことができた。ただし、子会社についてはまだ、調査の手が及んでいない。 Bayerについては、残された人事書類が限られているものの、人的資源管理についての共通のルールを、取締役会議事録やその付随資料で再構築することが可能であったため、1980年代初頭までは、かなり精緻な議論を展開することができる。一方で、戦後におけるトップマネージャーの人事書類のサンプルがこれまで見当たらないため、この部分での調査の進展が、不満足である。
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今後の研究の推進方策 |
Goldschmidt社については、これまでの調査方針で現地調査を続ければ、間違いなく完全な成果をだすことができる。ただし、少なくともあと数回の調査滞在の継続が前提である。 Bayerについては、トップマネージャーに適用された人的資源管理を、人事書類の直接の分析以外の手段(今後閲覧が許される取締役会議事録の資料や、偶発的に他の文書カテゴリーの中に残された数値データを伴う資料などの分析)をもとに研究を進める。
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