垂直統合型の小売フォーマットを採用した衣料品専門店チェーンの成長は近年の小売流通を小売店舗形態構造の動態から見た場合の主要な現象のひとつである。本研究では、まず、これら専門店チェーンの台頭をうながした流通課業環境と制約環境について、この分野の代表的な研究アプローチを踏まえながら、歴史的な視点からの分析を試みた。その上で、1990年代以降顕著になった、この小売店舗形態内における個別小売業者の地位変動過程に着目し、その規定因としての市場戦略と深く連動した商品調達ネットワークの果たす役割の重要性について、日本的小売業の性格を踏まえながら明らかにした。
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