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2012 年度 実施状況報告書

情報創造過程としての消費者推論に関する包括的・複眼的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24730368
研究種目

若手研究(B)

研究機関明治大学

研究代表者

福田 康典  明治大学, 商学部, 准教授 (90386417)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードマーケティング / 消費者推論 / 市場における情報創造
研究概要

平成24年度は、消費者による推論や情報処理に関して文献研究を中心に既存の研究知見の整理を行ってきた。探索した領域としては、消費者行動、マーケティング、社会心理学、認知心理学、消費社会学、そして組織学習論などであった。その結果、心理学的視角を超えたアプローチの確立を目的とする本研究において、「価値共創」という視点から消費者の情報創造や情報処理を考えることに高い有効性が見いだせるという点が確認された。この価値共創という考え方は、近年の市場研究において注目されているサービス・ドミナント・ロジックの中核に位置するものであり、売り手と買い手が交換を行う前の諸現象に焦点を置くこれまでの研究視角とは異なり、製品が利用される状況下(つまり製品の使用文脈)での現象に注目している。こうした研究焦点の移行は、消費者の情報創造行動をより直接的に考察するのに適しており、また社会学的な視点を研究枠組みに組み込むことを容易にすると考えられる。この「価値共創」フレームワークをベースに、消費者による情報創造過程の新たな研究枠組みの構築を次年度以降試みる。なお、こうした研究結果について、9月に行われた日本経営診断学会全国大会で学術報告を行った。また、その内容をベースとした論文を同学会学会誌に年度内に投稿する予定であったが、英国での在外研究(平成25年3月から)にむけた準備に時間をとられてしまい、投稿は英国に入国した後(平成25年4月)となってしまった。
また平成24年度は、次年度以降に行なう調査の準備期間でもあるので、質的データ調査およびネットワーク調査について文献等でその手続きなどの習得を図った。
また次年度以降の調査のプリテストを兼ね、消費者が行う情報創造とそれへの企業の対応について平成25年2月に伝統的工芸品の業界を調査する予定であったが、在外研究準備のため日程調整が不調に終わり次年度に延期した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の中間研究目標は、文献研究を通じて本研究全体を通して中核となるような基本的なフレームワークを模索することであった。この目標に関してはおおむね達成できたと考えられる。ただし、「価値共創」フレームワークは交換関係に関わる現象全体を取り扱う枠組みであるので、本研究の注目点である消費者の情報創造や推論といった部分に適用するために更なる精緻化が必要である。これらは、次年度以降の調査内容などを加味しつつ進めていきたい。
ただし、本年度の後期は在外研究の準備(渡航準備や渡航先での生活に必要な手続きなど)に時間をとられたため、論文の執筆が遅れてしまった点と予定していた調査が延期になってしまった。これらの点は、次年度の課題として早期に対応すべきであると思われる(論文に関しては次年度に当たる平成25年4月にすでに投稿済み)。

今後の研究の推進方策

本年度の研究を通じて中核となるフレームワークの抽出はできたので、今後はこのフレームワークを文献研究および調査データ解析を通じてより精緻化していくことが課題である。特に、現在、英国で在外研究を行っているので、英国における調査データの入手も容易になっているため、国際比較や文化比較等の視点も含めて研究を進めていきたいと考えている。
なお、当初日本国内で実施予定であった調査に関しては、在外研究先が国外であるため、いくつかの変更が必要となる。消費者アンケート調査についてはウェブ調査およびSNSなどを使った調査を中心に実施することで大きな変更点はないが、企業の担当者に対するヒアリング調査に関しては、スカイプなどを使った電話調査やアンケート調査への切り替え等を計画している。
文献研究に関しては、CiNiiや明治大学図書館の学術文献データベース、また在外研究先であるカーディフ大学のデータベースなどを利用できるので、昨年同様の環境のもとで行える。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、2つの定性的調査を実施し、その結果を踏まえて、消費者情報創造に関する研究枠組みの精緻化を図っていくことが目的となる。そのため、調査に関わる費用やその分析に利用するソフトウェア代などに研究費を使用する(これについてはウェブ等を利用するため、当初の予定とあまり大きな差は出ないと思われる)。
また、延期していた前年度実施予定だった調査については、当初の予定通り日本の伝統的製品産業について実施するか、調査先を欧州に変更するか、あるいは日本の同産業について別の方法(訪問調査ではなくアンケート調査や電話調査を実施するなど)を採用するか、現在検討中である。
文献の入手等に関しては、英文書籍の探索と購入はより容易な環境であるが、和書籍の探索と購入にはこれまで以上にコストがかかると思われる。
また、日本の研究者や研究機関、学会などとの通信にもこれまで以上に費用が掛かると予想される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 価値共創概念の再考2013

    • 著者名/発表者名
      福田康典
    • 雑誌名

      日本経営診断学会論集2013

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [学会発表] 顧客関係管理に関する研究枠組みの再考-市場における情報創造過程の観点から-2012

    • 著者名/発表者名
      福田康典
    • 学会等名
      日本経営診断学会第45回全国大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      20120928-20120930

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公開日: 2014-07-24  

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