本研究の目標は、組織のトップマネジメントが市場志向を強調した場合に、彼らのリーダーシップ・スタイルが、組織の市場志向ひいては事業成果にどういった影響を与えるかを明らかにすることにある。そこでまず、初年度においては、市場志向ならびにリーダーシップ・スタイルに関する先行研究のレビューを試みている。結果として、先行研究では市場志向とリーダーシップ間のメカニズムを扱った研究がほぼ取り組まれていないことを確認している。次年度では、わが国の代表的な製造業におけるトップマネジメントに対してインタビューを実施し、市場志向とリーダーシップ間の関係について探索した。その上で、インタビューの結果と、先行研究の知見を基に、市場志向とリーダーシップ、双方が成果変数にもたらすメカニズムを明示する命題モデルを提示している (岩下 2013) 。翌年には、命題モデルを基に、先行研究で開発された概念を援用しながら仮説モデルを構築した。最終年度では、仮説モデルを検証するため、わが国の東証一部に属する製造業の事業部長約4500名に対して大規模な郵送調査を実施している。結果に関しては、多変量解析を施し、検証を試みている。
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