研究概要 |
顧客と直に接する立場にあるフロントラインの従業員のパフォーマンスを向上するメカニズムを解明する、という研究計画に基づき、数度の調査を実施し、従業員個人のデータを合計で2,500サンプルほど収集し、定量的な分析をおこなった。また、調査項目の精緻化や調査協力者との関係構築などを目的に、販売やサービスの事業者を対象として、定性的な比較研究・事例研究をおこなった。 これまでは、複数回実施された調査を個別に、また、注目する変数を特定して分析をおこなっている。たとえば、2,500サンプルのうち、第1回調査によって集められた550以上のフロントライン従業員のデータを用いた分析結果を取り上げると、個人の変革を促すリーダーと組織内における準拠集団の影響力を比較したところ、従業員の販売・サービス提供活動に望ましい影響をもつのは準拠集団のうち、組織内のロールモデルであることを検証した。また、この550サンプルを含む、販売やサービス事業者に勤める従業員、およそ1,500サンプルを対象に組織内のコンフリクトと組織に対するロイヤルティの分析をおこなうなどした。分析結果の一例として、向かうべき将来を説明するリーダーよりも、実行する姿やロールモデルとしての姿が、従業員のロイヤルティに対して有意な影響力をもつことが挙げられる。 これらの成果の発表について。当年度、海外学会において七度(個人の研究成果として二度、共同での成果発表に参画するかたちで五度)、国内学会において共同の名義による三度の成果発表をおこなった。また、英文の紀要を1篇、共著書を2冊上梓した。
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