研究課題/領域番号 |
24730375
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
中原 孝信 関西大学, ソシオネットワーク戦略研究機構, 研究員 (60553089)
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キーワード | マイクロクラスタリング / 潜在価値 / データマイニング / マインド |
研究概要 |
本研究の目的は、顧客の購買行動に着目し、購買意図はあるが購買に至らなかった行為を反映させた顧客潜在価値という概念を構築しその理論化を行うことにある。そのために「顧客潜在価値の概念定義と理論化」→「顧客潜在価値モデルの構築」→「応用可能性の 検討」という大きく3つのフェーズで研究を実施する。本年度は、顧客潜在価値モデルを構築するために、消費者の購買心理に着目した研究を実施した。顧客の購買行動は実に多種多様であるが、そのような購買行動から顧客が持っている購買心理を概念化することで、マインドとして抽出するための方法を提案した。 その実証研究として、スキャンパネルデータを対象に、顧客がある商品カテゴリの購入を考えたときにイメージする店をマインドとして捉え、健康志向と非健康志向に特徴的なマインドを明らかにした。非健康志向は、食品といえばコンビニエンスストアをイメージし、スナックやコーラ、惣菜・加工食品のためにスーパーマーケットを利用するという結果が得られた。一方、健康志向の顧客は、非健康志向に比べてより複数のマインドを有しており、同じ食品でも複数のスーパーマーケットをイメージしており、雑貨を購入する場合はドラッグストアを利用するという特徴が得られた。 このような知見は、顧客潜在価値モデルを構築するための重要な要素となり、またマインドを抽出するための技術は、健康志向と非健康志向以外の目的変数にも利用できることから、今後も実証研究を積極的に実施しながらさらなる研究を実施することで、モデルの精緻化を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を実施するに際して、1「顧客潜在価値の概念定義と理論化」→2「顧客潜在価値モデルの構築」→3「応用可能性の検討」という大きく3つのフェーズに分けて研究を行っており、本年度は、2を重点的に実施した。その成果としては、「研究実績の概要」で記した通りいくつかの新たな知見が得られた。また本年度に実施した研究の一部で、データ解析コンペティションで最優秀賞を受賞した。以上のことを鑑みると2のモデルの構築に関しては、「おおむね順調に進展している」と十分に判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の研究計画は、これまでに構築したモデルを用いて、「応用可能性の検討」を実施する。顧客潜在価値モデルを利用し、推奨商品や見込み顧客の発見、また売場レイアウトの評価方法などを開発し、顧客潜在価値モデルの実用面に関する研究を行う。また顧客潜在価値モデルを E-CommerceのWEBログデータへ適用することで、顧客潜在価値モデルの応用可能性について検討し、オンラインとオフラインの両方で利用可能なより汎用性のあるモデルとして改善していく。そして、その他の分野に関しても応用可能性を検討する。
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