研究課題/領域番号 |
24730376
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
川端 庸子 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (60411683)
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キーワード | 流通業 / 欧州 / イギリス / アズダ社 / IPL社 / リドル社 / アルディ社 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、日本の流通業界団体と世界的な電子調達機関であるAgentrics社と関連業界や本学および研究代表者の海外研究受入先大学(英国のリーズ大学)と連携した形で進める、流通業に関する日欧比較研究である。平成25年度には、研究代表者が国外研究員として英国のリーズ大学を拠点にして研究を行った。 リーズは、英国の主要流通業者であるアズダ社(英国のウォルマート)やそのサプライヤーであるIPL(International Procurement & Logistics)社の本社があり、マークス・アンド・スペンサーの創業地であるためリーズ大学には貴重な資料が所蔵されている。そして、近隣のブラッドフォードにはモリソンズ社の本社があり、英国の流通業研究における貴重な資料やインタビューを収集することができた。 さらに、英国内の研究出張において、MUJI、デイリーUK、テスコ、ニュー・コベント・ガーデン卸売市場、スコティッシュ・ミッドランド・コープ、三菱電機工場等へ、スペインでは、ザラ、カルフール、エル・コルテ・イングレス等へ、ドイツでは、リドル、アルディ、エデカ、カイザー(ドイツ南部ではテンゲルマン)、レーベ、ネット等を中心に調査を行うことが出来た。 また、リーズ大学の研究者のみならずブリュネル大学のSingh先生、エディンバラ大学のDawson先生やMarshall先生、スターリング大学のSparks先生等とディスカッションを行い、貴重な示唆を得ることができた。これらの研究成果は、税務経理協会の『経営と情報の深化と融合』内にて発表した。 欧州の流通業に関しては、未だに十分研究されているとはいえない。そこで、本研究では日本だけではなく欧州の事例を数多く集め比較研究することにより、今後の日本流通業において理論的かつ実務的なインプリケーションを導出することは大変有意義な取組であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、第一に平成24年度に整理した調査研究活動における諸課題の対策について具体的に検討していくこと、第二に欧州地域を中心対象としたインタビュー調査を実施すること、この2点について取組んでいく予定であった。 そこで、平成25年度には英国を中心とした欧州の流通業について貴重な調査を行うことが出来た。例えば、英国の主要流通業者であるアズダ社(英国のウォルマート)やそのサプライヤーであるIPL(International Procurement & Logistics)社、日本の西友からアズダ関連に出張や出向している方のインタビュー調査、その他にもテスコ、セインズベリー、モリソンズ、マークス・アンド・スペンサー、リドル、アルディ、コープ、ウェイトローズ、ジョン・ルイス、コストコなど多くの企業情報を収集することができた。 さらに、英国内の研究出張において、MUJI、デイリーUK、テスコ、ニュー・コベント・ガーデン卸売市場、スコティッシュ・ミッドランド・コープ、三菱電機工場等へ、スペインでは、ザラ、カルフール、エル・コルテ・イングレス等へ、ドイツでは、リドル、アルディ、エデカ、カイザー(南部のテンゲルマン)、レーベ、ネット等を中心に調査を行うことが出来た。 ただし、今年度は欧州にて研究を行い欧州現地での資料収集やインタビューなどの調査を優先させたため、研究成果発表は税務経理協会の『経営と情報の深化と融合』「第10章流通業のICTによるグローバル化の進展」であり、その他ディスカッション程度の発表を行うに留まった。しかしながら、リーズ大学の研究者の方々のみならず英国国内の先生(Singh先生、Dawson先生、Marshall先生、Sparks先生)等とディスカッションを行い、貴重な示唆を得ることができた。 以上のことから研究の現在までの達成度は、概ね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、第一に平成25年度のインタビュー調査を通じて得られた欧州の流通業における電子調達と企業間関係の変化に関する検討を行い、第二に日本の流通業と欧州の流通業における電子調達と企業間関係の変化について比較検討していく。そして、研究成果の発表を積極的に行う予定である。 具体的に、欧州の流通業における電子調達と企業間関係の変化に関する検討については、昨年度までの文献およびインタビュー調査を通じて得られた研究成果を整理し、先駆的事例と併せて、欧州における電子調達による企業間関係の変化について検討していく。そして、日本と欧州の流通業における電子調達と企業間関係の変化に関する比較については、平成24年度にインタビュー協力を頂いた企業に再度追加調査を行い(国内旅費の発生)、電子調達と企業間関係の変化に関する日欧比較を行う。 2000年にリテールリンクに対抗するため創立された電子調達機関がアジェントリクス社(現在はネオグリッド社、日本での支社はアジェントリクス・エーピー社)である。平成24年度のインタビュー調査に協力いただいたアジェントリクス・エーピー社とイオン社等に加え、日本におけるウォルマート社である西友へも積極的にインタビューを行いたいと考えている。 元来、電子調達は1999年にウォルマートがリテールリンクを使用して行ったのが始まりである。西友は同システムを使用し、英国アズダの調達方法を導入している。そのため、英国流通業と日本流通業を比較する際に良い事例となると考えている。そこで、西友とアズダの調達子会社であったIPL(International Procurement & Logistics)社へのインタビューにも注力し、近年の日本と欧州における電子調達について比較研究を遂行していきたい。さらに、これらの研究成果を論文や発表等の方法で情報公開していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
欧州地域でのインタビュー調査時に通訳、翻訳、テープ起こし、調査集計等の人件費・謝金が発生する予定であったが、インタビュー調査は基本的に研究代表者自身のみで行い、その他の研究者とともにインタビュ-に行った際にも通訳等を頼まずに行ったため、人件費・謝金の費用がかからなかった。 また、学会発表等を含む情報発信のための出張に次年度使用することができるように今年度の出費を見送ったため、今年度の使用予定額26,229円を次年度に繰り越すことになった。 次年度は、今年度までの研究成果の情報発信に注力したいと考えている。そのため、情報学会発表等にて出張をより精力的に行い、研究成果物を印刷・発送したいと考えている。 そこで、繰越金を国内出張費および消耗品費(印刷費・通信費)として研究遂行のために効果的な方法として使用したいと考えている。
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