本研究は,日本企業へのフィールド・リサーチを通じて,日本企業における経済性評価の独自性,および,資本予算プロセス全体の特徴を明らかにしようとするものである。具体的な研究成果としては,次の3点が挙げられる。 第1に,洗練された経済性評価と事後フォローを組み合わせることは,企業業績の向上と関係があるということを明らかにした。第2に,予測期間を限定した正味現在価値法という実務において実践されていた独特な評価方法が,通常の正味現在価値法とは異なる特徴を有していることを明らかにした。第3に,経営戦略や経営理念と整合的な情報関連投資の事例研究を紹介し,IT関連投資の評価を行う可能性について示した。
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