今年度は、研究計画調書内の「研究の目的」および「研究実施計画」と、昨年度実施した研究・調査内容に基づいて、次の3点の研究・調査を行った。 まず、丹波市および紫波町を対象とした実効性の高い将来理想の事業システムモデルについては、昨年度収集した現状の事業システムに関する調査・統計データを用いて、将来理想の事業シナリオとそれに基づくシステムモデルを検討した。その他には、両地域の研究・調査と同じ方法に基づいて、青森県のりんご産業やバイオマスに関する調査・統計データを収集し、それを利用しながら、現状の事業システムに基づく将来理想の事業シナリオやシステムモデルを検討した。しかし、これらの地域の事業関係者とのシナリオの検討が十分ではなかったことから、「実効性の高い」事業システムモデルまでは構築することができなかった。 次に、これらのシナリオを評価する会計モデルの検討については、先述の現状および将来理想の事業システムと昨年度収集した評価データを利用して、現状の事業システムと将来理想の事業システム、また、いくつかの将来理想の事業システムを比較・評価し、事業化の可能性を明らかにできるモデル、換言すれば、事業参加組織全体(面)を比較検討し、システム全体の最適化を評価していくためのモデル「評価マップや意思決定カード」を構築した。さらに、この事業に参加している個別組織(点)を評価し、その結果から最適化を検討していくためのモデルを、バランス・スコアカードを用いて構築した。 最後に、以上の研究成果については、所属学会の学会誌、会計学専門雑誌、所属大学および大学院の紀要、所属学会での報告、そして、2冊の著書の中で発表した。
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