研究課題/領域番号 |
24730387
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
大浦 啓輔 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (20452485)
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キーワード | 管理会計 / 組織間管理会計 / 組織間コントロール / バイヤー・サプライヤー関係 / 企業間関係論 / サプライチェーンマネジメント |
研究概要 |
本研究は,取引関係にある複数企業の間(組織間)で利用あるいは共有される会計情報の利用実態を明らかにし,それが組織内外の管理会計実践に与える影響を解明することを目的として実施している。企業活動がグローバル化するなか、サプライチェーンの複雑化がますます進み、部品や素材の調達を取り巻く現代の経営環境は、組織間の相互依存性がますます高くなっている。また、こうした状況は、2011年の東日本大震災やタイでの洪水災害などの経験から製造企業においてはサプライチェーン・リスクにいかに適応するかが重要な課題となっている。本年度は、昨年度から継続して、インタビュー調査を実施し、その記述的分析を実施した。また、当初計画にある比較ケース分析のためのケースも複数用意することができた。1つはサプライチェーンを構成するロジスティクス企業のメーカー・顧客間の分析であり、もう一つは加工組立型企業のメーカー・サプライヤー関係である。前述のような災害を踏まえ、災害等の不確実性だけに対応するだけでなく、サプライチェーン全体の複雑性の増大によって、組織間の組織設計やコストマネジメントのあり方が異なること、そして組織間の境界連結者の有する権限と責任構造が組織間マネジメント上、重要であるといった知見が得られつつある。こうしたインタビュー調査は今後も継続的に行うが、本年度のの成果報告として、上記のインタビュー結果についてメルコ学術振興財団管理会計セミナー等において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基礎的知見となるインタビュー調査を継続的に実施できており、複数ケースを蓄積できていることや、インタビュー調査に基づく知見を中間成果に関して対外的に報告を行うなど、当初計画に沿って順調に進展していると考えられる。ただ、調査を行うにあたり、対象企業との日程調整やインタビュー調査自体に多くの時間を要したため、当初年度末に実施を予定していた郵送質問票調査については次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であるため、年度前半を目処にインタビュー調査を実施するとともに、論文等に研究成果を取りまとめる。この内容は、夏の国内での学会報告を予定しており、学会報告およびディスカッサントからのコメントに基づき、論文の改訂を行い、学術雑誌に投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査先企業とのインタビュー実施に専念したため、当初年度末に計画していた郵送質問票調査を翌年度に実施することとしたために、質問票の印刷費や通信費について翌年度の繰越額が生じた。 次年度は、前年度に未実施の郵送質問票調査に繰越額を使用する予定である。また、次年度の助成金については当初の予定通り、調査対象企業へ調査旅費やそれに付随する費用、成果報告のための学会報告等の旅費、郵送質問票調査の分析や結果報告に要する費用を主要な研究費の使途として計画している。
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