「会計制度の社会学的分析に関する基礎的研究」という課題のもと、本研究では、1980年代以降、主としてヨーロッパを中心に取り組まれてきた、会計制度を社会学的な観点から分析してきた研究の動向とその意義を体系的に整理し、今後、当該研究方法を日本の文脈に応用しその成果を海外へ発信していく際の基礎となる知識を提供することを目的に、参考となる手引書の作成を進めてきた。 具体的には、これまで当該分野を世界的に先導してきたヨーロッパにおける会計研究の動向を中心に、本書の構成を2部構成とし、第1部では、フランス系社会学の基礎としてフーコーやラトゥールの議論を扱い、ドイツ系社会学の基礎としてハーバーマスやルーマンの議論を扱うこととした。また第2部では、第1部で示された社会学的な分析視角の応用対象として、これまで会計制度の基礎概念として利用されてきた「会計責任(アカウンタビリティ)」概念を取り上げ、その意義と限界を社会学的な観点から整理することとした。 以下、その章構成である。 序章 会計の科学化と科学の会計化―会計社会学の必要性―:第2章 相対主義的会計研究の現代的地平:第3章 フーコディアン会計研究の視座:第4章 ラトゥーリアン会計研究の視座:第5章 会計規制のトリレンマ:第6章 会計責任と説明責任の制度化とその問題:第7章 環境政策の正当化手段としての会計責任と説明責任:終章 Making Science Accountable?
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