研究の二年目である平成25年度は、モデルの理論的整理と検証仮説の導出、パイロットテスト、分析と改善を実施した。 第一に、モデルの理論的整理と検証仮説の導出を行った。国内外の先行研究によって提示されたモデルと仮説を整理し、また、近年の国内外の制度と実務の実態に基づいて、国際的な監査報酬の決定因子を解明するための分析フレームワークと検証仮説を導出した。具体的には、監査報酬の決定因子を企業別因子、国共通因子、国固有因子から構成されるものとし、それぞれの因子に属する変数群を抽出した。また、複数の対象国を分析する手法として、分散分析やクラスター分析を用いることとした。 第二に、上述の分析フレームワークを用いてパイロットテストを実施した。具体的には初年度において構築した主要31カ国を対象としたデータをもとに、各決定因子の有効性を実証的に検証した。結果は、企業別因子はすべての変数が統計的に有意な関係をもって証明された。また、国共通因子の解明にあたって、各国における監査報酬の決定を個別に検証した。 第三に、国共通因子、国固有因子は先行研究の少ない分野であり、La Porta et al.(2006)の研究等を参考にしながら、追加データを取得し、分析制度の改善を実施した。なお、研究成果の一部を専門ジャーナルで公表した。
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