研究課題/領域番号 |
24730396
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
岩田 弘尚 専修大学, 経営学部, 准教授 (50406360)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コーポレート・レピュテーション / 企業の評判 / レピュテーション・マネジメント / インタンジブルズ / 無形資産 / 管理会計 |
研究概要 |
本研究の目的は、無形の資産であるコーポレート・レピュテーション(企業の評判)が企業業績に影響を及ぼす構造をわが国上場企業を対象とした時系列的な実証研究によって解明することにある。その目的のために、本研究計画の期間全体を通じて、(1)国内外のレピュテーション・マネジメントの理論研究および実証研究の動向をレビューし、(2)先行研究から導出された仮説に基づいて、統計的な実証研究を行なっている。 (1)の文献レビューに関しては、Corporete Reputation Review誌やレピュテーションと無形の資産に関する専門書を購入し、理論研究と実証研究の先行研究の整理を行なった。その結果、コーポレート・レピュテーションの測定尺度であるReptrakの調査方法の詳細が明らかになった(業績、製品・サービス、リーダーシップ、職場環境、市民性、ガバナンス、革新性という7つの構成概念と23の下位尺度)。 (2)の実証研究に関しては、一般消費者を対象としたわが国企業のレピュテーションに関するアンケート調査を実施し、企業の評判とReptrakをベースとしたその構成要素、さらに一般消費者のその企業に対するステークホルダーの支援行動を調査した。そして、その結果に基づいて、初年度の研究計画通りに、(1)コーポレート・レピュテーションと企業業績の相関関係の検証、(2)企業業績→コーポレート・レピュテーションの因果関係の分析を実施した。なお、実証結果は、平成25年度に開催される日本原価計算研究学会第39回全国大会において発表予定である。 以上の初年度の実証研究は、今後の時系列的分析の出発点となる研究であり、ひいてはレピュテーション・マネジメントの理論的裏付けをするための基礎となる研究でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論研究については計画通りに進み、文献レビューの結果、コーポレート・レピュテーションの測定尺度であるReptrakの詳細が明らかになった。 実証研究については、理論研究を反映させて、Reptrakの尺度にもとづいて、全体計画通りに平成24年度内にコーポレート・レピュテーションに関するアンケート調査を1回実施し、分析を終えている。 しかし、先行研究の結果をアンケート調査の設計に反映させてから実際に調査を実施する時期が遅かったため、年度内の調査結果の発表までには至らなかった。これについては,平成25年度の学会で発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も引き続き、一般消費者を対象としたわが国企業のレピュテーションに関するアンケート調査を実施し、前年度と同様に以下の(1)と(2)の実証研究を行なうとともに、時系列的分析に着手する。 また、コーポレート・レピュテーションを測定した企業についての最新の財務データが入手可能となるので、(3)の重回帰分析や共分散構造分析も行なう予定である。なお、(3)の共分散構造分析のモデル構築を行なうために、引き続きレピュテーション・マネジメントに関する先行研究の整理も行なう。 (1)コーポレート・レピュテーションと企業業績の相関関係の検証 (2)企業業績→コーポレート・レピュテーションの因果関係の実証 (3)コーポレート・レピュテーション→企業業績の影響構造の解明
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)は、アンケート調査実施委託費の当初の見積もりとの誤差である。少額であるため、次年度に実施予定のアンケート調査の設計をするために必要な理論研究の資料費として使用する予定である。
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