研究課題/領域番号 |
24730396
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
岩田 弘尚 専修大学, 経営学部, 准教授 (50406360)
|
キーワード | コーポレート・レピュテーション / 企業の評判 / レピュテーション・マネジメント / インタンジブルズ / 無形の資産 / 管理会計 |
研究概要 |
本研究の目的は、無形の資産であるコーポレート・レピュテーション(企業の評判)が企業業績に影響を及ぼす構造をわが国上場企業を対象とした実証研究によって解明することにある。研究の具体的な目的は、(1)評判の良い企業群と悪い企業群の間の企業業績の差を明らかにする、(2)回帰分析により企業の評判と企業業績の関係性を明らかにする、(3)評判の各構成要素が企業業績に与える影響と構造を明らかにする、である。2013年度は、質問票調査を実施し、3つの分析と関連する分析を単年度ベースで行った。 結果として、まず、RepTrakモデルによるわが国上場企業のレピュテーションとレピュテーション・ドライバーの測定の妥当性が検証された。そして、このRepTrakに関連して、わが国上場企業におけるレピュテーション・ドライバーの影響度も明らかになった。 さらに、わが国においても評判の高い企業群と低い企業群の財務業績の平均値に差があることが認められた。同様に、評判の高い企業群と低い企業群のコーポレート・レピュテーションがステークホルダーの支援行動に及ぼす影響の平均値に差があることが明らかになった。このことは、コーポレート・レピュテーションがステークホルダーに対して非財務的な影響を及ぼすことで、財務業績が高まるという(3)の関係性の解明の第一歩と言える。これらの結果については、学会報告を行うと共に、論文として投稿した。 本研究の貢献としては、わが国企業のレピュテーションとレピュテーション・ドライバーを国別、産業別、企業別に測定することで、国際比較や企業間のベンチマークキングに利用したり、個別企業のレピュテーション・マネジメント戦略の策定に役立つデータを提供できるようになる点である。今後は、分析を単年度ベースから時系列的な分析へと展開することを予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体計画に沿って、文献レビューによって理論研究を進めつつ、予定通りに2012年度と2013年度にコーポレート・レピュテーションに関するアンケート調査をそれぞれ1回、計2回実施し、実証的に分析を進めている。また、その結果は、2回の学会発表と1本の論文としてまとめている。以上から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度も引き続き、一般消費者を対象としたわが国企業のレピュテーションに関するアンケート調査を実施し、前年度と同様の分析を単年度ベースの実証研究を行なうとともに、時系列的分析にも着手する予定である。また、日本管理会計学会スタディーグループ「企業価値創造に向けてインタンジブルズの複合的活用」のメンバーとして、レピュテーションと他のインタンジブルズの関係性を検討し、本研究のモデルにも反映させていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)は、アンケート調査実施のための委託費の当初の見積もりとの誤差である。 少額であるため、関連する理論研究の資料費として使用する予定である。
|