研究課題/領域番号 |
24730397
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 亮介 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40549713)
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キーワード | 疑似通貨 / ポイントプログラム / キャッシュ・フロー |
研究概要 |
平成25年度は,疑似通貨の1つである,ポイントプログラム会計の実態調査を引き続き行った。 これまでの研究では,提携型ポイントプログラム会計の研究により,ポイントプログラムを運営している各々の企業では,ポイントを通じたビジネスモデルに違いがあり,それに応じて会計処理が異なること,および将来キャッシュ・アウトフローの特徴に応じて会計処理を工夫していることがわかっている。 そこで平成25年度はさらにその実態を把握するため,すでに調査済みのポイントプログラム運営企業4社(ジープラン,カルチュア・コンビニエンス・クラブ,グリーンスタンプ,航空会社のX社)に加えて楽天についての資料・インタビュー調査を行った。その結果,楽天は国際財務報告基準で要請されている処理と,日本で普及している処理を併用していることがわかった。このケースを,今まで観察されなかった事例として,大雄智・中村亮介・岡田幸彦(2011)「ポイントプログラム会計のフレームワーク」(『會計』第179巻第6号。)のスキームをもとに,5社を類型化した。 昨今の会計の潮流としては,国際財務報告基準という1つの基準もしくは会計処理に統一するという方向性がある。そこでわれわれは,もし投資家が会計を通してポイントプログラムの多様性や実態を知りたいとするならば,このような会計処理の統一により,各社のポイントプログラムの実態が見えにくくなる可能性があることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究業績の概要」の内容については,「How do we measure the performance of a Point Alliance Program?」というタイトルで,サービス学会第1回国内大会(2013年4月10日~11日,同志社大学(京都府))にて大雄智准教授(横浜国立大学)・岡田幸彦准教授(筑波大学)とともに報告している。 また,ポイント引当金に関連して,「包括利益情報の価値関連法則の探究-表示初年度の経験から-」(『産業経理』第73巻第2号,岡田幸彦准教授(筑波大学)・島拓也氏(筑波大学大学院生)と共著),「日本における財務制限条項情報の実態と役割」(『會計』第184巻第5号,河内山拓磨氏(一橋大学大学院生)と共著)を発表した。 これにより,平成24年度の「学会報告1回・論文2本」という成果とあわせて,応募時に掲げた「平成24年度・平成25年度とあわせて学会報告3回・論文3本を発表する」という目標をおおむね達成していることが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,これまで行ってきた研究を学会等に報告することとする。 具体的には,9月の日本会計研究学会および10月のAsian Academic Accounting Association(査読が通れば)にて学会報告を行う。さらに,大雄智教授(横浜国立大学)・岡田幸彦准教授(筑波大学)らとともに疑似通貨に関して著書を共同執筆する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外での学会報告のための旅費に充てる予定であったが,その締め切りまでに報告資料がまとまらなかったため,次年度に繰り越させていただきたい。また,導入予定の有価証券報告書データベースの契約が次年度にずれこんだため。 疑似通貨を扱っている企業へさらにヒアリング調査を行い,さらに海外で学会報告を行うため,相当程度の旅費交通費が必要となる。また,調査のデータ入力のためのパソコンを購入することとなる。
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