平成26年度は,これまで行ってきた実態調査について考察した。具体的には,期末ではなく期中に引当金を認識するという会計実務が観察されたことを受け,このような処理がなぜ行われているかを検討した。その結果は以下のとおりである。すなわち,ポイントについては,その他の引当金の対象となる項目よりも,その効果をタイムリーに認識するという内部管理目的での情報需要が多い,という事情があると思われる。これと,ポイントプログラムというインフラの進化により,ポイント残高をタイムリーに管理,把握できる体制が整ったことが相まって,将来キャッシュ・アウトフローの見積額を期末でなく,より早いタイミングで認識するという実務が観察されたのであろう。 また,ポイントプログラムを運営している会社がポイントに関する用語をどのように用いているかを観察した結果から,これまで実務的に使われてきた勘定科目と比較する形でに勘定科目の修正を提案した。 さらに,これまでに考察してきたポイントプログラムのフレームワークを洗練させることにより,これからのポイントプログラム会計の道筋を示した。 そして,これまで蓄積してきたポイントプログラムおよび疑似通貨に関する研究報告を国内外で行い,論文として公表した。結果として,最終年度に論文4本および学会報告4回と,当初の計画を上回る成果を出すことができた。
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