本研究はストックオプションの利用が経営者の行動にどのような影響を与えているかをわが国のデータを用いて検証している。ストックオプションはわが国においても報酬として使われて久しいが、それが経営者の行動にどのような影響を与えているかといった検証はなされていない。そこで適時開示情報からいつ、だれに、どのくらいのストックオプションを付与しているかを入手し、そのデータをもとに分析を行った。 本期間において焦点を当てたのは、権利行使価格の決定時において、経営者が機会主義的行動、とりわけ株価が低くなるような行動をとっているかどうかである。多くの企業において権利行使価格は付与日前日の株価あるいは付与前一か月の平均株価のいずれか高いほうに1.05を乗じて決定される。そのため、自らの富を最大化したい経営者はなるべく権利行使から売却における期間において利益が大きくなるように、権利行使価格を低くしたいと考えるはずである。もしそうであれば、経営者は企業にとってネガティブなニュースを付与前の期間に流すことで株価を低くし、低い権利行使価格を確定させるような行動をとるかもしれない。そこで本研究では付与企業を対象にその企業の付与前の株価の動向を調査した。本分析の結果は2014年に開催される日本管理会計学会において公表する予定である。
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