研究課題/領域番号 |
24730401
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
堀井 悟志 立命館大学, 経営学部, 准教授 (50387867)
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キーワード | 予算管理 / 組織能力 / イノベーション / 管理会計リテラシー / BSC |
研究概要 |
平成25年度は,主として,これまでの定性的研究のデータの見直しと,英語論文の執筆に向けた海外学会での報告を行った。その結果,第一に,予算管理の会計責任,補完的な管理会計計算,会計のリズムのそれぞれが戦略的文脈として構造を提供し,下位管理者による主体的なイノベーションの創出・実現を導くことが明らかになった。次に,組織能力として,環境適応行動としてのイノベーション力が必要ななかで,それが固定的な予算目標と行動計画の論理的な連携といった特徴を有する予算管理システムという組織資本と管理会計リテラシーといった管理能力という人的資本の相互作用によって生み出されていること,およびその相互作用のなかで,予算管理システムがさまざまな形で矛盾を創出し,その矛盾に対峙することで学習を喚起しており,その一つとして,人的資本の構築においても,予算管理が能力構築の場を提供していることが明らかになった。さらには,管理会計主体が下位管理者であり,予算管理が上位管理者による下位管理者の支配の仕組みとしてだけでなく,下位管理者の活動を支援する仕組みとして用いられているなかでは,一定の知識を有していることが前提である上位管理者の場合とは異なり,主体の管理会計リテラシーが重要であり,管理会計システムの機能は,管理会計リテラシーと管理会計技法の相互作用のもとで発現するが,下位管理者の管理会計リテラシーが一定水準に満たない場合においては,例えば,予算の裏付けとなる行動計画を論理的に立案するために,BSCが用いられ,予算管理に必要な管理会計リテラシーをBSCが補完しており,そのBSCを通じて,ビジネスプロセスが下位管理者に埋め込まれることを通じて,管理会計リテラシーの向上にもBSCが寄与していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会報告,基礎理論の検討をもとに,徹底的な定性的研究のデータの見直すことで,第二次の理論化を行うことででき,おおむね順調に進展しているといえる。また,より積極的に研究課題に取り組むために,アクションリサーチの取り組みを始めており,その点においても,順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
定性的データの見直し,および基礎理論,研究方法論の検討を受け,平成26年度の前期中には,海外トップジャーナルへの投稿を行い,査読者からの意見をもとに,知見のさらなる精緻化を図る。また,第一年度,第二年度の定性的研究および定量的研究の知見の統合を推し進める。そのために,混合型研究に関する検討を進める。 一方で,事業承継が近い企業を中心に,アクションリサーチを遂行し,多面的で,より深みのある知見の構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,学外研究期間で,基本的に海外に滞在していたため,定性的研究のための調査旅費がそれほど執行されなかったため,次年度利用額が生じた。 平成26年度は,最終年度として,これまでの知見の精緻化を行う。そのための学会発表,学会参加のための旅費を執行する予定である。また,国内の数社において,アクションリサーチを行うため,そのための 調査旅費が必要となり,執行する予定である。
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