研究概要 |
本研究は、買収防衛策の導入が、企業のコーポレート・ガバナンス(中でも「株主・経営者の力関係」)に変化を与えうる点に着目し、経営者による利益報告行動の変化の有無を検証することを目的としている。1年目の研究活動では、(1)コーポレート・ガバナンス関係の文献の読み込みと、(2)利益マネジメント関連の文献の読み込み、(3)M&Aデータ・ベース購入による検証サンプルの構築作業を中心に行った。 コーポレート・ガバナンス関連の文献としては、2010年のJournal of Accounting and Economicsに掲載されたArmstrong, Guay ,Weberらの論文“The role of information and financial reporting in corporate governance and debt contraction”や、花崎 正晴氏の著書『企業金融とコーポレート・ガバナンス―情報と制度からのアプローチ』東京大学出版などを読み込んだ。 利益マネジメント関連の文献としては、2010年にJournal of Accounting and Economicsに掲載されたDechow, Ge, Schrandらの論文“Understanding earnings quality: A review of the proxies, their determinants and their consequences”を中心に読み込んだ。また、検証サンプルの構築作業についても、レコフ社より、M&Aデータ・ベースおよび買収防衛策データ・ベースを購入し取り組んでいる。 研究計画では、具体的な研究成果の公表は次年度以降を予定しており、1年目は実証研究のための準備作業への取り組みを予定していた。その意味において、計画に沿った作業に取り組んだものと考える。
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