研究課題/領域番号 |
24730404
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
島永 和幸 神戸学院大学, 経営学部, 准教授 (90362821)
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キーワード | 自己創設無形資産 / 人的資本 / 国際会計基準 |
研究概要 |
本研究は、知的創造型経済の進展を背景として、企業の持続的競争優位の源泉をなす自己創設無形資産に焦点を当て、自己創設無形資産の公正価値会計はいかにあるべきかを理論的かつ実証的な側面から体系的に調査・研究することを目的とする。平成25年度は、人的資本と国際会計基準(IAS38)「無形資産」の会計基準に焦点を当て、会計上の取り扱いについて確認した。 国際会計研究学会第30回研究大会において、「人的資本の本質と『使用権』に基づく新しい認識アプローチの探究」というテーマで、学会報告を行った。知識経済の進展に伴い、企業価値に占める無形資産の比重が高まっている。多くの企業(経営者)は、アニュアルレポートにおいて、人的資本(従業員)を「最も重要な資産」と述べている。しかしながら、人的資本は、その重要性にもかかわらず、貸借対照表上で認識されてこなかった。国際会計基準において、人的資本が認識されてこなかった理由として、主に①資産の認識規準を満足しない、②信頼性ある測定値を入手できない、ことが指摘できる。本報告では、このような問題意識に基づいて、まず人的資本の本質的特性を明らかにした。つぎに、資産または負債パースペクティブの観点から、人的資本の認識可能性を確認した。さらに、近年のリース会計の議論で新しく登場してきた使用権モデルに基づいて、概念的準拠枠としての人的資本の新しい認識アプローチを提示した。最後に、人的資本の測定可能性を明らかにするために、経済的価値評価モデルの1つであるFlamholtzの「確率報酬評価モデル」を検討した。本報告については、国際会計研究学会年報に投稿し、掲載される予定である。 また、国際会計研究学会研究グループの一員として無形資産会計を担当し、自己創設無形資産を含めたIFRSにおける無形資産会計の会計基準について報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究では、自己創設無形資産の中核をなす人的資本を中心に、理論研究を行うとともに、国際会計基準における自己創設無形資産会計について検討を行った。 自己創設無形資産の認識、測定、開示問題は、広範な内容を包摂するため、アンケートを行うに当たっては、アンケート調査の質問項目を確定するための文献調査が重要となる。そのための資料収集を図るとともに、他のアンケート調査の調査方法や調査項目を調査した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行われた文献研究や資料収集を前提として、統合報告など非財務的測定・開示の手法について詳細な研究を実施し、財務諸表で認識し得ない自己創設無形資産開示の在り方について研究する。 また、アンケート項目を確定し、アンケート調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査を2014年度に実施予定であったが、アンケート項目を精緻化するため、2015年度にアンケート調査を実施することにしたため。 アンケート調査や出張旅費等に使用する予定である。
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