本研究は,未だ十分に明らかにされてこなかった中小企業の管理会計実務を対象として,過去に実施した中小企業に対するサーベイ調査から得られた結果をもとに,中小企業における管理会計実務の実態を把握することと,導かれるであろう理論を抽出することを目的として実施された。これにより,従来大規模で階層化された組織を前提とした管理会計研究から得られる知見とは異なり,階層化されていない中小企業における実務の状況,マネジメント・コントロールに関連した点では会計情報に基づく診断的コントロールが機能していないことを示した。また,中小企業でも組織規模によってコントロールが機能する状況が異なることを示した。
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