本研究は、戦後開拓地におけるコミュニティの形成と変容をたどり、一連の過程を規定する諸要素をみいだそうとしたものである。具体的には、地域社会における協同関係の構築や対立・葛藤とその解決の方途、戦後開拓政策の受け止め、世代間の継承のあり方の分析を通して、自然村とは異なる地域社会の特徴を捉えようとした。今日に至るまでコミュニティを維持し続けている開拓地の調査を通して明らかになったのは、(1)共同性が変容を余儀なくされる際のリスクの抑制、(2)ローカルなレベルでの政策担当者の働きかけ、(3)継承における記憶・体験の存在とそれらの共有のための場の存在の重要性である。
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