本研究では、原発関連施設反対運動が展開された地域の「その後」を検証することで、環境問題/運動経験地域にとって問題の解決とは何かを問い直し、問題解決や地域再生のための社会的条件を導出することを目的とした。調査結果の分析からは、反対運動や政策転換によって原発などの建設が中止された場合、環境破壊という顕著な被害は軽微で済むものの、計画の受け入れをめぐり人間関係が悪化したり、期待された経済効果が得られないなど、潜在的な被害がもたらされていることが明らかになった。さらに、こうした潜在的被害に対しては、新たな産業の誘致や記憶の継承によって、経済的・社会的側面の対応が取られていることが明らかになった。
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