近年、日本の周縁地域においてアートプロジェクトをが盛んに実施されるようになっている。活動の活発化に伴い、アートプロジェクトを媒介とした景観創造活動が持つ可能性に対する関心が高まっている。 本研究の目的は、日本の周縁地域における現代アートを媒介とした景観創造活動の分析を通じて、アートプロジェクトによる地域固有資源を活用した持続可能な地域社会の再生および発展の成立条件を社会学的に考察することである。 本研究では、香川県直島、香川県大島、香川県男木島、新潟県十日町市松代・松之山地域において調査を実施した。直島では、住民を中心にしたインタビューを実施した。大島では、継続してプロジェクトを行う「やさしい美術プロジェクト」のメンバーおよび国立療養所大島青松園の入所者に対しインタビューを実施した。男木島では、プロジェクトにかかわる住民にインタビューを行った。新潟県十日町市松代・松之山地域では住民に対するインタビューおよび作品制作を実施する作家に対してもインタビューを実施した。 最終年度である本年は越後妻有アートトリエンナーレ開催年であり、開催期間中に、十日町市松代地域においてプロジェクトに継続してかかわる住民に対してインタビューを実施した。 また、これまで香川県大島において行ってきた調査の結果を論文「負の歴史的遺産における生活実践の伝承可能性 : ハンセン病療養所におけるアートプロジェクトを事例として」にまとめた。
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