2012年に高校生と母親に関する全国調査を行った.そのデータを用いた分析から,BreenとGoldthorpeの相対的リスク回避仮説が日本社会における格差生成を説明する上で妥当かどうかを分析した.教育期待についての分析の結果,BreenとGoldthorpeが指摘するような相対的リスク回避のメカニズムは働いているものの,それが社会経済的背景の影響を媒介する程度は小さいことが明らかになった.この結果は職業期待についても同様にみられた.また2002年と2012年における高校選択と進路希望の社会経済的背景の変化を分析したが,この10年間でそのパターンはほとんど変化していないことが明らかになった.
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