本研究では2011年3月11日に発生した東日本大震災とその後の福島第一原発事故について、主要な国から選定した英字メディア及び、主要な国際機関、国際NGOが公表しているウェブ上の英字ニュース・テキストの情報を、「①類似した文脈」「②見解の異なる文脈」「③主張のゆらぎ」「④日本の復旧・復興への提言」の4点に着目して文脈を整理し、分析した。また本研究では、英字ニュース・テキスト情報の読解作業を通した分析だけではなく、サイト内検索やGoogleニュースのような横断検索システムなど既存の検索システムを用いて、日本の震災・原発事故に関する特徴的なキーワードを抽出し、キーワードを軸にしたニュース分析も行った。そして上記の分析の過程において、Media Studiesに関する国際学会やシンポジウム等に参加し、研究成果の一部を公表しながら、他国の研究者から意見聴取を行い、二次的な議論の文脈の整理と分析作業を行った。研究期間中の成果としては、「海外メディアから見た自由民主党政権」(中部大学総合学術研究院編「アリーナ」No.15、P 377-389、2013年5月)で、本研究期間の前半に成立した自民党政権の原子力政策に関する国際メディア報道の比較分析を行い、公表している。本研究の目的は、このような情報の整理と分析の作業(メディア研究)を通して、震災と原発事故に関するニュース情報を時空間毎に整理し、国際社会における日本の風評被害の実態を明らかにすることにあったと要約できる。
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