本研究は、東京都台東区南部「徒蔵」(御徒町-蔵前間)において2000年代後半から顕著となった、ファッション雑貨工業(ハンドバッグ、鞄、靴、革小物類、ジュエリー、アクセサリー等)における若年起業家の創業過程を対象とした。隅田川流域に集積するファッション雑貨工業では事業所数の減少が続いているにもかかわらず、この地域では従来とは異なる業態の事業所(クリエイターと呼ばれることもある)の開業が進んでいる。本研究ではこれについて、2004年に開設された創業支援施設の卒業企業が、既存の社会的分業構造の中で新たな取引関係を作っていった過程として分析した。
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