(1)本研究の目的は、超高齢化社会を迎え一層重要性を増す看護職の確保および定着に向けて、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の確保に向けた組織文化の定着とそのメカニズムを、特に柔軟な勤務体系の導入という人事管理上の変更をめぐる組織主体間の相互行為への着目を通じて明らかにすることである。この目的を達成するため、①R.コンネルの「差異への注目から関係への注目」へと転換を図る関係論的ジェンダー視点と、Gamblesらによる「ライフ(生活)の中にワーク(仕事)を位置付ける」視点を分析視角として組み立て、看護職場を対象としたインテンシブなインタビューに基づく組織の質的分析を実施する。 (2)研究計画は、1.文献研究および分析枠組みの構築、2.予備的調査:質的データの収集・分析、3.予備的調査の実施に基づく調査対象の選定とインテンシブなインタビュー調査の実施である。そのうち、初年度である平成24年度には同年5月より25年1月までの8ヵ月間、産前・産後休暇および育児休業を取得したため、1.文献研究および分析枠組みの構築を行った。平成25年度から26年度にかけては、25年8月より26年8月までの13ヵ月間にわたり、日本大学海外派遣研究員制度により米国カリフォルニア大学バークレー校雇用関係研究所にて在外研究に従事したため、引き続き1.文献研究および分析枠組みの構築を実施した。 (3)在外研究より帰国後、2.予備的調査:質的データの収集・分析、3.予備的調査の実施に基づく調査対象の選定とインテンシブなインタビュー調査を進めるべく調整を進めたが、年末・年度末等の繁忙な時期と重なり調整がつかなかった。しかし一方で、文献研究の成果を発表することができた。
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