研究課題/領域番号 |
24730441
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西城戸 誠 法政大学, 人間環境学部, 教授 (00333584)
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キーワード | 再生可能エネルギー / 市民出資 / 風力発電 / 内発的発展 / 社会的受容性 / 実践的調査研究 |
研究概要 |
本研究の目的は、風力発電を中心とした再生可能エネルギーを地域社会がどのように受容すべきか、再生可能エネルギーの「社会的受容性」をキー概念とし、「フクシマ」後の日本のエネルギー政策の中で相対的に重要性が増している再生可能エネルギーが、外発型の開発ではなく地域に根差した内発的発展の契機として機能するための条件や、再生可能エネルギー技術の普及に伴う不可避な負担(金銭的・心理的・環境的負荷)を地域社会が受容する条件を実証的に明らかにすることである。 本年度は、市民出資型再生可能エネルギー事業における聞き取り調査や、3.11以降に再生可能エネルギー事業に参入した事例調査の成果を踏まえ、市民出資型の再生可能エネルギー事業と地域社会の関係性(絆づくり)の現状と課題を整理し、再生可能エネルギー事業の地域における社会的受容性と、再生可能エネルギー事業開発と地域の内発的発展の関係性の課題について考察した。その成果は、『公募研究シリーズ35 再生可能エネルギーと地域社会における絆づくりに関する比較研究』(全労済協会)としてまとめた。この中の論考の一部は、次年度、編著書として掲載される予定である。 さらに、本調査研究も含めて、3.11以降における社会学的実証研究の実践性のあり方についても考察している。第47回環境社会学会(桃山学院大学・2013/6/2)において『「記録」と「主体形成」から、実践的な調査研究を考える』として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題である、風力発電を中心とした再生可能エネルギーの地域における社会的受容性と、再生可能エネルギー事業開発と地域の内発的発展という議論については、『再生可能エネルギーと地域社会における絆づくりに関する比較研究』によって、一定程度の目処がついたと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)すでに収集した、市民出資型再生可能エネルギー事業の出資者調査データを用い、時系列分析によって、市民出資の動向の変化を把握する。また、3.11以降、市民が再生可能エネルギー事業に参入し、「ご当地電力」として、新たな市民出資が行われている現状分析を行うために、調査票調査、実態調査を行う。 (2)再生可能エネルギー事業の地域における社会的受容性と、再生可能エネルギー事業開発と地域の内発的発展について、理論的、実証的な考察を行い、本研究のまとめとして書籍としての刊行の準備を行う。
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