研究課題/領域番号 |
24730442
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
木村 真希子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90468835)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エスニシティ / 南アジア / 社会運動 / グローバリゼーション / インド北東部 |
研究実績の概要 |
今年度は産前産後休業・育児休業取得のため、現地調査を実施することができず、文献資料の収集と今までに収集した資料の整理・分析を中心に研究を進めた。また、こうした文献資料と現在までの調査を基にした成果発表を行った。 文献資料の整理・分析は、主にHuman Rights Reportの過去のデータを読み込み、第二次大戦以降の紛争数の経緯や性質の変化を把握し、その中でインド北東部の紛争を位置づけることを試みた。インドとビルマ/ミャンマーは第二次大戦後の紛争数は世界でも突出して高く、この両者の国境線に位置する北東部の紛争を世界的な傾向の中に位置づけることは重要な作業である。実際、正規軍よりも治安維持部隊の方が数も多く出動数も高くなっていることや、一般市民が巻き込まれることが多いなど、世界の紛争の傾向と同様の性質の変化が見て取れる。 今年度は、International Union of Anthropological and Ethnological Studiesの大会において先住民族に関するセッションを組み、ナガランドの人権団体がアジアで先住民族ネットワークを形成し、国際的に発信を行っている様子を分析、発表した。世界各地の他の先住民族の状況と比較し、フィードバックを得ることができた。また、日本社会学会のテーマセッション「南アジアの社会運動――グローバルな価値観と草の根の力の接合点」においてコーディネーターと司会を務めた。南アジア各地の草の根の運動に対するグローバルな影響に関する知見を得、今後の研究を進める上での参考になった。 また、『インドの社会運動と民主主義――変革を求めるびと』(石坂晋哉編著、2015年)に「トライブ運動の個別化」を発表した。この中でボドランド運動を事例に、グローバル化の影響、とくに冷戦崩壊と小型武器の輸入に関する分析を展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献収集と成果報告は計画通り進んでいるが、予定していた課題(3)の現地調査が実施できなかった。その他の部分の成果報告等を前倒しで進めることで、計画の再調整を図っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は課題(3)「政治的なグローバル化の影響」と(4)「経済的なグローバル化の影響」について検討するため、引き続き現地調査と資料収集・先行研究の分析を行う。また、引き続き課題(1)と課題(2)の調査・分析によって得られた成果の発表を行う。今年度中に終わらなければ、研究期間延長の申請も検討もする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は産休・育休取得のため、予定していた現地調査を実施できず、旅費が使いきれなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた現地調査を次年度にまわし、旅費として使用する予定である。
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