研究課題/領域番号 |
24730443
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
佐野 麻由子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (00585416)
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キーワード | ネパール / 社会学 / 男児選好 |
研究概要 |
本研究の目的は、ネパール社会における民主化、市場化、準市場化とそれに伴う再生産領域の変化を、個人、世帯、カースト・民族(ジャート)から重層的にとらえ、その関連を明らかにすることにある。具体的には、「市場化・準市場化が家父長制的男児選好を加 速させている」という仮説のもと、2006年の政変後の「失われた女性たち(男児選好、少女売買、女児の育児放棄)」の促進要因を社会調査の手法を用いて実証的に明らかにすることを目的とした。 本年度は、当初の計画どおり(1)バグマティ・ゾーン下の7つのdistrictで配布した調査票1500のうち1460票を回収し、(2)データ・クリーニングに着手した。また、(3)男児選好に関する事例の収集(新聞記事)、および、聞き取り調査を実施した。海外に出稼ぎを経験した女性への聞き取り調査からは、世帯への経済的貢献は男児選好をかえる原動力にはなりえないという仮説を導出するにいたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の(1)~(3)に記載した当初の計画どおりおおむね順調に研究を遂行することができた。(2)については、これまでの調査状況を所属大学の紀要に発表し、報告書執筆の準備に着手した。また、(3)については、26年7月に開催予定の世界社会学会(ISA)横浜大会に応募し、研究成果公表の準備にも着手した。 (1)ネパール現地調査:平成25年度以降は、質問紙調査の進捗状況や回収状況にあわせて3回~4回の現地訪問を検討している。また、聞き取り調査についても継続して実施する。 (2)データ・クリーニングと分析:資料収集、文献調査での知見とあわせて、得られたデータの分析を行う。そして、分析結果に依拠して報告書の執筆に着手する。 (3)研究結果についての意見交換:現地の研究協力者と調査結果についての意見交換、議論を行い、26年度に予定している研究成果の公表内容についての打ち合わせも行う。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の研究計画として、下記を計画している。 1.調査票の分析:回収した調査票の統計ソフトを用いた分析。 2.研究結果の公表:7月19日の世界社会学会での報告。 3.研究成果の刊行:3月末の報告書の刊行。
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