ネパールの「失われた女性たち」の促進要因を明らかにすることを目的とした本研究の成果として、市場化・準市場化が、収入や土地、学歴、困ったときに頼れる家族以外の人をもたない人の男児選好を促進することを示した点、他の世帯と比較して生活水準が下位にあると感じる人、過去と比較して世帯の経済状況が上向いた人、生活水準を改善する機会が十分にあると思う人ほど、男児選好的であるという知見を導いた点が挙げられる。後者は、先行研究に対し、資源の多寡だけではなく、他者との生活水準の比較による剥奪感、過去と現在の生活水準の比較による上昇感が、男児選好の促進要因であることを示している。
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