研究課題/領域番号 |
24730445
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
熱田 敬子 早稲田大学, 総合研究機構, 招聘研究員 (20612071)
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キーワード | 人工妊娠中絶の個人化論からの検討 / インタビュー方法論 / 当事者研究についての考察 |
研究概要 |
調査の進捗状況としては、前年度にインタビューの申し込みを行ない、ラポールを築いた、人工妊娠中絶経験者および比較対象としての流産経験者に対するインタビューを行なった。インタビューの成果をテープおこしし、さらに今後、フィードバックと論文で使用するための手続きの合意をとるための、匿名化を行なった。 また、これまでのインタビューのマトリックス化をすすめ、異なる年齢層のインタビュー協力者をさがし、協力を依頼している。さらに、人工妊娠中絶に関する支援者とコンタクトをとり、次年度以降のインタビューや調査の依頼を行なった。 同時に、文献研究として以下のことを行なった。 (1)当事者概念の使用と、学術界での当事者研究の展開についての知見を前年度に引き続きまとめた。(2)調査研究の中で得られた調査法に関する知見をまとめ、日本社会学会でも発表を行なった。(3)新型出生前診断に関連して、2013年は選択的妊娠中絶に関する知見が多く出てきたため、シンポジウムや、関連する学会に参加し、背景情報を収集した。 いわゆる、ナチュラル・アボーション(優生思想にもとづかない中絶)と選択的妊娠中絶はこれまでわけて考えられることが多かったが、女性が自己責任において選択を迫られるという点では非常に状況が似ている点がある。過去の女性運動、障害者運動の中での選択的中絶についての資料・議論も参照しながら、今後の研究の視座をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビューのテープ起こし、確認に予想以上に時間がかかったこと。また、本研究以外のタスクのエフォート率が当初予想よりあがってしまったこと。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、補足インタビューを行なうとともに、インタビュー協力者に対し、テープ起こしを元にインタビューの使用許可、同意を改めてとりつける。 2014年中をめどに、質的研究の論文としてまとめ、査読雑誌への掲載をめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
先年、大学の任期満了により2013年以降の研究資金の事務引受先が見つからない可能性があったため、前倒し請求をして研究を前倒しで進めようとしたが、引き受けていただける研究所が見つかったので、当初予定に沿うこととした。この、大学が引き受け手にならない限り科研費の継続が難しいシステムは、任期付雇用の多い若手研究者に対して不利なものであり、再考を求めたい。 また、調査の日程が先方の都合でずれ込んだために、旅費の使用が次年度に繰り越された。また、申請者の本研究以外のエフォート率が予想より上がったこと、体調不良が生じたことにより、研究に若干の遅れが生じているため、次年度に繰り越すこととした。 本年、前年までに行なわれるはずだった、地方への調査が数回予定されているため、その旅費を支出する。 また、人件費についても、昨年度依頼予定だった作業を、今年度に繰り越して依頼し、使用する。
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