日本の国土開発の方針は1990年代に国土の均等発展から「選択と集中」へと転換した。本研究ではこの方針転換が大都市、特に東京に与える空間的社会的影響を検討する。 日本では、Klaassenの都市発展段階論から外れ、都市化の段階が異なる大都市で1990年代後半のほぼ同時期に都心人口が再増加した。背景には大都市、特に東京都心への「選択と集中」政策がある。東京では就業者の転出が減少して転入超過となり、東京都心部は、外から流入する若者の一時的な受け皿というより大都市で働く人々の定住の場としての役割を増した。また、新たな都心住民は旧住民より社会階層が高い。名古屋等の他都市は東京に比べ変化が緩やかである。
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