研究課題/領域番号 |
24730455
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
前田 拓也 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (60552148)
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キーワード | 障害者 / 自立生活 / フィールドワーク |
研究概要 |
本研究は、福祉社会学の立場から、障害者と障害者をケアする者との相互行為プロセスに注目し、両者のあいだで「自立した生活」がいかにして協同的に達成されるかを、実証的に明らかにすることを目的としている。 「自立した生活」の支援者と障害当事者間の“相互行為”を分析の対象とする本研究は、①フィールドワーク(参与観察/聞き取り調査)によって現場の実践を明らかにするミクロな研究と、②現場を取り巻く現代社会の論理の変化や財政などの動きを 追うマクロな研究、③障害者運動の現代史研究、という 3 つのアプローチを採用し、広範的に検証することを通じて、「障害者自立支援」というイシューに対する明確な政策的提言をおこなうことを目指しているが、本年度は、これら3つのアプローチのうち、①フィールドワークによって現場の実践を明らかにするミクロな研究にとくに注力したと言える。 なかでも本年度は、障害者が「自立」をどのように経験しているかを、当事者のライフヒストリーを中心に、その一側面を明らかにすることを目指した。具体的には、大阪府の特例子会社での聞き取り調査を実施した。特例子会社とは、障害者雇用率制度において個々の事業主(企業)ごとに義務づけられている障害者の法定雇用率=1.8%を確保するために設立された、障害者の雇用に関する一定の配慮の要件を満たした子会社のことである。調査対象となった特例子会社では、雇用者の9割が障害者であり、障害種別も多岐にわたる。かれらが労働を通じて「自立」を実現していく過程を(中途障害の場合は受傷の経緯なども含め)、インタビューを通して明らかにすることを試みた。 これらのデータと分析を、論文刊行など一定の成果としてまとめていくのは、来年度以降となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・一定の合理的配慮のもとに経済的な自立を実現するという困難な課題に取り組む障害者当事者たちのライフヒストリー、特に、特例子会社という比較的新しい取り組みのなかでそれを実現する人びとのデータを得ることができたことは、今後の研究にとって大きな収穫となった。 ・大量に得られた録音データの整理と分析は途上にあるが、現状としては順調である。 ・以上は順調に進んでいるが、一方で、より重度の障害者、さらにはそうしたかれらの暮らしを日常的にアシストする人びと(健常者)たちへの聞き取り調査の実施がやや難航しており、これが今後の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
・研究目的を達成するための3つのアプローチのうち、来年度以降は引き続き、①フィールドワーク(参与観察/聞き取り調査)によって現場の実践を明らかにするミクロな研究に注力する必要がある。 ・今後はとくに、重度の障害者、さらにはそうしたかれらの暮らしを日常的にアシストする人びと(健常者)たちの実践に注目し、両者が「自立」をどのような関係性のなかで協同的に達成し、また健常者はこれらの経験をどのように意味づけているのかという問いに重心を置いたうえで、聞き取り調査を実施したい。 ・そのための方策として、とくに兵庫県内で先進的な試みをおこなう2つの事業所へのフィールドワーク(参与観察/聞き取り調査)を計画し、実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に実施した主たる調査が大阪府内に設定され、比較的近郊での実施が可能であったため、旅費への使用が当初の計画より少なくなった。 調査は、次年度も例年通り関西圏での実施が中心とはなるが、新たに関東の事業所での聞き取り調査等も計画している。この分の旅費が、昨年度使用しなかった分を含めてより多く必要となるため、これにあて、使用することとする。
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