本研究では、水俣病多発漁村において医学的健康調査と社会学的調査を行い次の4点を明らかにした。① 漁撈組織と親族関係の樹形図を作成し補償救済状況などをマッピングし視覚的に漁民被害を整理した。② 漁民日記の解析により漁業被害の実態を捉えた。③ 補償救済や漁業状況、原田正純らの76年健康調査カルテと今回の医学的調査結果を重ねあわせて34年後の健康障害の経過など漁民被害の内実を明確にした。④ 過去の毛髪・臍帯水銀値と今回の医学的調査で同一対象者を抽出し補償救済状況と合わせ分析し漁民被害の立体的構造を示唆した。 以上の研究活動は今後も継続されるとともに研究成果の公開へとつながるものである。
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