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2015 年度 実績報告書

賀川豊彦と同労者の社会事業にみる地域協働モデルの検討

研究課題

研究課題/領域番号 24730460
研究機関千葉大学

研究代表者

伊丹 謙太郎  千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30513098)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード協同組合運動 / 社会事業史 / 社会福祉思想 / 賀川豊彦 / セツルメント運動
研究実績の概要

本研究「賀川豊彦と同労者の社会事業にみる地域協同モデルの検討」は、神戸のスラム街で開始された賀川豊彦の社会事業が、大正・昭和期の時代背景のなかで同労者とともにどのような形で発展・展開していったのかを検討してきた。議論の枠組みとしては、明治期の典型的慈善・感化救済事業であった彼らの取組が(とりわけ各種協同組合の設立を中心とした)地域住民主体の防貧的アソシエーション形成へと展開するに至る理由について、国内同時代思想からの影響などを踏まえて確認することになった。賀川研究においては、キリスト教宣教史からの歴史分析が中心となっていることもあり、「救貧から防貧へ」や「セツルメント運動」「協同組合運動」といった社会実践に対して、賀川を単独者として理解しがちであるが、これらが国内の基督教社会事業に限定されないボランタリーな諸活動や国策などとの間でどのような位置関係にあったのかなど、研究上の多くの収穫を得ることができた。また、神戸・大阪・東京の三都市における賀川ミッションの事業展開を比較する視点は、同労者の実践における偏差という角度から賀川豊彦の思想上の変化を時系列的に検討させる適切なものであったということも再確認した。本研究においては、関東大震災が賀川同労者の実践における新たな段階を生む極めて重要な位置にあるという作業仮説を前提に、東京本所の同労者たちの取組が賀川本人の思想や実践の青写真を超えたものであり、後期の賀川思想において協同組合運動が中核になったのは、本所同労者の実践がフィードバックされたものであることが指摘できる。賀川が、同時代欧米の社会事業実践の一方的移入ではなく、アメリカ遊説における「協同組合を世界に」といった日本初の社会経済構想を提示し得た理由が震災後の同労者実践に深く影響されていることなど、賀川思想の変遷を同労者の実践の視角から論証していく本研究は、十分な成果を得られた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 日本の協同組合陣営の市場シェアと雇用力2015

    • 著者名/発表者名
      伊丹謙太郎
    • 雑誌名

      協同組合研究誌にじ

      巻: 651 ページ: 13-21

  • [雑誌論文] 賀川豊彦同労者事業・運動の広がりと多様性-浜松同労者と聖隷福祉事業団を中心に2015

    • 著者名/発表者名
      伊丹謙太郎
    • 雑誌名

      全労済協会客員研究員報告

      巻: 2 ページ: 57-88

  • [学会発表] 大学における協同組合教育と地域協働カリキュラムの構築2015

    • 著者名/発表者名
      伊丹謙太郎
    • 学会等名
      日本協同組合学会(第35回秋季大会)
    • 発表場所
      岐阜大学応用生物科学部(岐阜県・岐阜市)
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-03
  • [学会発表] 賀川同労者としての浜松聖隷社同人たち2015

    • 著者名/発表者名
      伊丹謙太郎
    • 学会等名
      賀川豊彦学会(2015年度大会)
    • 発表場所
      明治学院大学白金キャンパス(東京都・港区)
    • 年月日
      2015-07-31 – 2015-07-31
  • [学会発表] 同労者集団としての聖隷社2015

    • 著者名/発表者名
      伊丹謙太郎
    • 学会等名
      賀川豊彦松沢フォーラム(第2回報告会)
    • 発表場所
      賀川豊彦記念松沢資料館(東京都・世田谷区)
    • 年月日
      2015-05-23 – 2015-05-23
  • [学会発表] 浜松聖隷社同人と賀川豊彦- 医農への分岐を中心に2015

    • 著者名/発表者名
      伊丹謙太郎
    • 学会等名
      社会事業史学会(第43回大会)
    • 発表場所
      愛知県立大学長久手キャンパス(愛知県・長久手市)
    • 年月日
      2015-05-09 – 2015-05-09

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公開日: 2017-01-06  

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